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どうして護摩行はキャンプファイヤーのように火を燃やすの?

煩悩を焼き尽くすため

護摩行をご覧になったことはあるでしょうか。堂の中に1.5メートル四方ほどの壇が造ってあって、真言〈*〉という呪文を唱えながらその中央にある炉で小さな角材(護摩木)を燃やすのです。 時には炎が高く燃え上がることもあり、迫力がある行法です。護摩は密教の行として日本に伝えられましたが、その起源はバラモン教の拝火儀礼やヒンドゥー教の火の神アグニの祭祀にあります。ヒンドゥー教においては、アグニを祀るための炉で供物を燃やすと、それは煙になってアグニのところに届くと信じられていました。密教においても儀礼の形式はほぼそのまま受け継いでいますが、その内容・目的は大きく違って
います。

密教の行者は炉に火をともすとともに、心の中にも智の炎をともします。炉の火のことを外護摩(事護摩)、心の中の火のことを内護摩(理護摩)といいます。行者は外護摩に供物を投じることによって本尊を供養するとともに、内護摩で自身の煩悩を焼き尽くして心を清浄にします。煩悩は欲望をかき立てて人を破滅に導きますので、仏教では煩悩のことを炎にたとえますが、護摩ではより強い理性の炎で煩悩を灰にするのです。

護摩木には参詣者の願意(大願成就・病気平癒・受験合格など)が書かれていることも多く、それらは煙に乗って本尊ころに届くとされます。修験道では柴燈(採燈)護摩という屋外での大規模な護摩が行なわれます。丸太を積み上げて燃やすので、キャンプファイヤーのようにも見えます。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 仏教』
監修: 渋谷申博

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