刑事ドラマに出てくる「プロファイリング」とはどんなもの?【図解 犯罪心理学】
現場の状況から犯人の属性を推測する
プロファイリングは、犯行現場の状況や現場での犯人の行動から、犯人の年齢、職業、精神疾患の有無など、その属性を推定していく技術です。
その歴史は1888年にロンドンで起こった「切り裂きジャック」事件に関し、トマス・ボンド医師が犯人像を推測したのが最初とされています。その後も、プロファイリング的な犯人の推定は行われましたが、より本格的になったのは1970年代にFBIが連続殺人事件の捜査のために開発した手法によってです。
FBIは、プロファイリング技術を開発するにあたり、刑務所に入っていた連続殺人犯と性的殺人犯36人のデータを分析しました。それによって、犯人のタイプが大きく2つに分類されることがわかりました。それが、秩序型と無秩序型です。
この分類では、犯行の形態や現場の状況だけでなく、犯人の属性もわかりました。秩序型の犯人は知的水準が高く、職に就いており、配偶者のいる人が多かったのです。一方、無秩序型の犯人は、知的水準が低く、無職でひとり暮らしなどの特徴がありました。
連続殺人事件から始まったプロファイリング技術は、現在、性犯罪、放火、テロリズムなど、さまざまな犯罪の捜査に応用されています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。
昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。
公開日:2024.07.21