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世界の標準的?!科捜研も採用している「高度な統計手法」を用いた最新のプロファイリング法とは?【図解 犯罪心理学】

Text:監修:越智啓太

科捜研も採用している最新のプロファイリング法【図解 犯罪心理学】

統計手法を用いたリヴァプール方式

FBIのプロファイリングに対し、高度な統計手法を用いて犯人の行動を分析したのが、リヴァプール方式のプロファイリングです。

これは、イギリスのリヴァプール大学のカンターが開発しました。この手法では、まず数多くの犯行現場の特徴について、データベースを作成します。たとえば殺人事件であれば、「遺体をバラバラにする」「被害者に猿ぐつわをする」などです。次にこれらの項目が同時に起こりやすいかどうかを計算します。そして、同時に起きやすい行動は近くに、あまり同時に起こらない行動は離すようにして、2次元の空間上にマッピングしていくのです。

こうしてできたマップは、同時にとられやすい行動同士が近くに配置されていることから、同一の犯人がとった行動をチェックすると、その範囲はだいたいまとまっていきます。そのようにして、複数の事件の犯人が同一人物かどうかを推測することができるのです。

これは殺害の状況だけでなく、「犯人は20代である」や「犯人は無職である」といった情報をマッピングしていけば、犯人の属性を推定することも可能になります。

この手法は世界の標準的なプロファイリング方法となっており、日本でも、科学捜査研究所(科捜研)などが、この方法を使っています。

科捜研も採用している最新のプロファイリング法【図解 犯罪心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。

 昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
 犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。