教えて井端さん!通算149盗塁の走塁技術
井端弘和選手は、現役時代に通算149盗塁、しかも「1シーズン20盗塁」を3度もマークしている。盗塁のコツは何なのだろう。
「3.0秒」の攻防?
――かつては古田敦也捕手(ヤクルト)、矢野燿大捕手(阪神)、谷繁元信捕手(横浜→中日)、中村武志捕手(中日→横浜)、阿部慎之助捕手(巨人)ら強肩捕手がそろっていましたが、60個以上の盗塁王は2005年赤星憲広選手(阪神)が最後。以降、盗塁王の盗塁数は30個前後を推移しています。クイックモーションが速かった投手として思い出されるのは誰でしたか?
盗塁阻止はバッテリーの共同作業です。特に投手の分業制が進み、どのリリーフ投手もクイックモーションの技術向上が顕著ですね。リリーフ投手が二塁盗塁されたら、いきなり走者二塁のピンチを背負うことになりますから。先述したように、クイックモーションが速い投手は、やはり走りづらかったですね。
「クイック投球(最近は約1.1秒)」+「捕球→送球→二塁到達(1.8秒)」=計2.9秒。一塁走者の盗塁成功率は・650前後。逆に言えば、盗塁阻止率・350が強肩捕手の一つの目安です。私の現役時代では「スーパー・クイック」と呼ばれたのが、久保康友投手(ロッテ→阪神→DeNA)。同僚の浅尾拓也投手(中日)も速かった。捕手の送球がそれるのを期待するか、変化球のときを狙うしかなかったですね。クイックモーションにあまり執着しない外国人でも、マクガフ投手(ヤクルト→ダイヤモンドバックス)は速かったです。
いずれにせよ、いろいろなタイミングで投球できる投手は、こちらも投球か牽制球か判断しづらい。つまり、スタートのタイミングがつかめないので走るのは非常に難しいです。普通に走ったらアウトだと思います。だから一時に比べ、盗塁王の盗塁数も減っているのです。
【出典】『少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」』 著:井端弘和
【書誌情報】
『少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」』
著:井端弘和
侍JAPANの日本代表監督、井端弘和氏が指導する少年野球の基本的プレー解説書。野球の根幹になる「打つ」「走る」「投げる」「守る」の4つのプレーに関して、初級・中級・上級の難易度別にステップアップできるよう写真とイラストで丁寧に解説します。世界を代表する選手も、日本の部活でプレーする選手も、この4つの基本に関して特別違うことをするわけではありません。確実にプレーを習得しステップアップしていくことで、世界レベルの基本に迫れます。「教えて井端さん」の野球コラムも章ごとに掲載。少年野球をプレーする生徒、指導者にとって、基本を見直したり、知ってるようで知らなかったプレーを見直す、必読の一冊です。
公開日:2024.03.05