教えて井端さん!守備は練習しただけ上手くなる
井端弘和選手の現役当時の守備は、ライバルの名手・宮本慎也選手(ヤクルト)や鳥谷敬選手(阪神)を抑え、ナンバーワン遊撃手として一世を風靡した。「守備の匠」の技を伝授願おう。
牽制球で走者を刺すべし
――「アライバ(荒木雅博二塁手ゴールデングラブ6度&井端)」は球史に残る二遊間コンビでした。牽制球で二塁に入るタイミングは難しいのではないですか。
井端弘和の答え
アウトにする必要がなくて「様子を見るとき」、二塁走者のリードが大きくて「アウトを狙うとき」と使い分けていました。後者は牽制のサインをあからさまに出すと二塁走者、一・三塁コーチャーも警戒するので、私が二塁に入るタイミングの合図は「まばたき」でした。
牽制のターンが速い浅尾拓也投手は、相手にはなから警戒されているので逆に牽制アウトは難しかったです。川上憲伸投手や中田賢一投手も上手かったですね。憲伸のように「あまり牽制は好きじゃないよ」という雰囲気をかもし出している投手のほうが成功しました(笑)。「絶対打者で抑える!」という投手より、「二塁走者を牽制アウトにできれば、次に安打を打たれても1点を防げる」と考える投手のほうが成功率は高いです。
二塁牽制がスローボールで悪送球になると、二塁走者は簡単に三塁に進塁してしまいます。しかし、二塁牽制ターンが速くて全力で投げた牽制が悪送球になっても、二塁走者は手から滑り込んで必死に戻っているので三塁にいかれることもありません。センターもバックアップに入っています。だから投手には「二塁牽制球は全力でほうれ」と言ってありました。
そう言えば、荒木雅博がベンチの指示以外、個人的に牽制のサインを出したのは見たことがないですよ。なぜか牽制に入りたがらない。入るのは私ばかりでした(笑)。
【出典】『少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」』 著:井端弘和
【書誌情報】
『少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」』
著:井端弘和
侍JAPANの日本代表監督、井端弘和氏が指導する少年野球の基本的プレー解説書。野球の根幹になる「打つ」「走る」「投げる」「守る」の4つのプレーに関して、初級・中級・上級の難易度別にステップアップできるよう写真とイラストで丁寧に解説します。世界を代表する選手も、日本の部活でプレーする選手も、この4つの基本に関して特別違うことをするわけではありません。確実にプレーを習得しステップアップしていくことで、世界レベルの基本に迫れます。「教えて井端さん」の野球コラムも章ごとに掲載。少年野球をプレーする生徒、指導者にとって、基本を見直したり、知ってるようで知らなかったプレーを見直す、必読の一冊です。
公開日:2024.07.27