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脳を育てるために知っておきたい腸との繋がりとは!?【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】

Text:工藤紀子

腸を育てると脳が育つ!?腸内環境を整え脳を育む食事

脳と腸は深く関わり合っている

ストレスやプレッシャーがかかると、おなかが痛くなったり便秘になったり…。人はストレスを感じると脳が不安や気分の落ちこみといった感情の変化を引き起こし、それが消化管に伝わって下痢や便秘などが起こることがあります。

このように脳と腸は深く関わり合っていて、互いに影響を及ぼし合う現象を「脳腸相関(または脳腸軸)」と呼びます。

最近では、脳腸相関と腸内フローラ(腸内細菌叢)の関連も指摘されています。腸内フローラとは、腸内に存在するさまざまな菌のこと。

*²⁶腸内フローラはストレスの耐性、脳の神経発達、行動、病気に大きく関わっているといわれています。ストレスや自律神経失調などの原因から下痢や便秘があらわれる過敏性腸症候群や、子どもの夜泣きもそのひとつといわれています。

子どもの脳の発達をうながし、健康な心身を育むために、日々の食事で腸内環境を整えていきましょう。

夜泣きにもプロバイオティクス

プロバイオティクスは、腸を整える作用のほか、感染症・アレルギーの予防、過敏性腸症候群の改善にも効果が期待されています。また、最近では子どもの夜泣きの原因のひとつが機能性の腹痛だとわかり、夜泣きの改善にもプロバイオティクスが有効だという報告があります。

善玉菌を増やす「食物繊維」の話

腸内環境を改善するためには、バランスのよい食事をとり、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やすことが大切です。

とくに意識して摂りたいのが食物繊維。

食物繊維は大きく分けると、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」とがあります。

①水溶性食物繊維

果物やニンジンやキャベツなどの繊維がやわらかい野菜、海藻類などに含まれます。
腸内の善玉菌を増やしたり、便を柔らかくする効果が期待できます。

②不溶性食物繊維

キノコ類、ゴボウなどの根菜、タケノコなどの繊維がかたい野菜、豆類などに含まれます。

便のカサ(量)を増やして腸管を刺激し、腸のぜん動運動を活発化させる効果が期待できます。

これら2つの食物繊維の特徴をつかみ、バランスよく摂ることが大切です。ちなみに「もち麦」は水溶性食物繊維、不溶性食物繊維どちらも含んでいるため、とくにおすすめしたい食材です。

雑穀ごはんやオーツ麦入りのシリアルなどの殺物類、野菜、根菜、豆類など、食物繊維をたくさん含んだ食べ物を、毎日の食卓に取り入れるとよいでしょう。

食物繊維の1日あたりの摂取目標量

●6~7歳 男児・女児とも10g以上
●8~9歳 男児・女児とも11g以上
●10~11歳 男児・女児とも13g以上
●12~14歳 男児・女児とも17g以上

出典:日本人の食事摂取基準2020年版

腸をダブルで元気に「シンバイオティクス」

善玉菌を増やすオリゴ糖、悪玉菌の増殖を抑えて腸の動きを活発にする発酵食品、腸の炎症を抑えて善玉菌を増やすEPAとDHAも、腸内環境の改善には分かせません。109ページにこれらの栄養素の働きとおすすめしたい食べ物例をまとめているので、献立の参考にしてみてください。

注意してほしいのが、バターやスナック菓子に含まれている乳化剤です。乳化剤は腸を細菌から守る腸粘膜バリアの機能を低下させ、腸の炎症につながる可能性が指摘されています。食べるときは量を控えめにするよう心がけましょう。

また、腸活の方法として、いま注目を集めている「シンバイオティクス」をご存じでしょうか。これは、次の2つを一緒に取り入れて、相乗効果で腸内の善玉菌の増加を促すというものです。

●プロバイオティクス:乳酸菌やビフィズス菌などの生きた微生物
●プレバイオティクス:善玉菌を増やす食物繊維やオリゴ糖

シンバイオティクスのメニュー例

●雑穀ごはん(食物繊維)✕チーズ(発酵食品)のおにぎり
●オーツ麦入りシリアル(食物繊維)✕バナナ(オリゴ糖)✕ヨーグルト(乳酸菌、ビフィズス菌)
●キムチ✕納豆✕豆腐(発酵食品、食物繊維)
●サバ缶(EPA・DHA)✕キャベツ(オリゴ糖)

無理にシンバイオティクスをがんばる必要はありません。いくつか自分のうちのお気に入りメニューをつくって、ローテーションするとよいでしょう。

EPA・DHA とは?

EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、イワシやマグロなどの海産魚の脂質に多く含まれる脂肪酸のこと。

腸内環境を整える栄養素&食べ物

腸内環境を整える栄養素&食べ物【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】

食物繊維

善玉菌を増やし、腸内環境を整える。また水分を引きこんで便を軟らかくする

●穀物(玄米、押し麦)
●野菜類(ブロッコリー、ほうれん草、オクラ、アスパラガス)
●根菜類(ゴボウ、ニンジン、ショウガ)
●豆類(納豆)
●キノコ類(シイタケ)
●海藻類(ワカメ) など

発酵食品

腸管内を弱酸性にし、悪玉菌の増殖を抑え善玉菌を刺激して、腸の運動を活性化する

●ヨ ー グ ル ト、 チ ー ズなど

発酵性食物繊維

善玉菌のエサとなり発酵する食物繊維。発酵による短鎖脂肪酸は免疫細胞を活性化させる。そのほか、水分を十分摂取することで腸の運動が促進する発酵性食物繊維

●タマネギ、ゴボウ、納豆 など

EPA・DHA

抗酸化作用で腸の炎症を抑え、善玉菌の増殖を促す

●イワシやサバ、アマニ油、エゴマ油 など

オリゴ糖

ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌を増殖させる

●バナナ、タマネギ、キャベツなど

参考:小児内科 Vol.53 No.11, 2021-11 小児医療グッド・プラクティス2
特集 子どもの栄養―未来を見据えて「総論 小児栄養と脳腸相関」

*²⁶猪井咲良・石黒久美子・永田智(2021)『総論小児栄養と脳腸相関』小児内科 Vol.53 No.11

【出典】『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』著:工藤紀子

【書誌情報】
『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』
著:工藤紀子

子どもに栄養バランスのよい食事をいっぱい作ってあげたい、子どもには元気にすくすくと育ってほしいなどの思いに応えるため、子どもの体・脳・健康と成長をサポートするための知識やアイデアを紹介しています。「小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事」では、楽に楽しく安全にをモットーに、身近でさほど効果でない食材で食事の悩みを解決していきましょう。

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