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人間の体の対照性の不思議!どうして人間の鼻の穴は二つあるのか?【人体の不思議】

Text:西野精治

いつも片方の鼻は詰まっていて交代で呼吸する

ヒトの体には、目・耳・手・足などは左右対称に2つずつあります。顔の真ん中にある鼻はひとつですが、穴は2つあります。これは見た目の問題ではなく、立派な理由があります。鼻の奥には毛細血管が集まった鼻甲介という膨らみがあり、数時間ごとに左右交互に充血と膨張を繰り返しています。膨張した鼻孔は空気が通りにくくなるため、鼻の穴は実際には片方ずつ、左右交代しながら呼吸しているのです。

この鼻の省エネ作業は8割程度のヒトに起こり、「交代制鼻閉(ネーザル・サイクル)」と呼ばれ、自律神経によってコントロールされています。交代制鼻閉が起こる理由には諸説ありますが、ひとつは片方の鼻の穴を休ませることで呼吸に使うエネルギーを節約するためと考えられています。

鼻の穴はそれぞれ左右の肺に対応しており、気管に大量の空気が入り込むのを防いで、肺が呼吸するのに適した温度や湿度に調節しているのです。外の冷たい空気が入ってきたときは、鼻甲介の血管が膨張し、そこを通る空気を暖め、乾燥した空気が入ってきたときは粘液が分泌されて空気を湿しめらせます。

また、ヒトの鼻は、想像以上に多くのにおいをかぎ分けます。今までは、約千種類の臭覚受容体を持ち、数十万種類のにおい物質をかぎ分けるとされていましたが、近年少なくとも1兆種類もかぎ分けられるという研究が発表されました。においを認識することは、空気中の浮遊物質をかぎ分けることです。ちなみに犬の臭覚は人間の約100万倍といわれています。識別の難しいにおいも、詰まった側の鼻の穴を空気がゆっくり通ることで識別しやすくなり、より多くのにおいをかぎ分けることが可能になっているのです。鼻の穴が2つあるには大きな理由があったのです。

『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!

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以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。

テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。

これらの情報の有用性を判断して有効に活用し、自分自身が健康であるためには、まず人間の“からだ”についてできるだけ正しい知識を持つことが重要ではないでしょうか?なぜならこの正しい知識を持つことが、巷にあふれる健康に関する情報に流されず、鵜呑みにせず、どれが有用な情報であるのかを判断できるようになる土台となるからです。

本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。

脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?

生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。

動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。

また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。

天才は生まれつきではない、幼少期がポイント

ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。

しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。

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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志

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