3:人とかかわる場面|近所の人と話をしなくなったとき
○エピソード
これまでは近所の人と井戸端会議が大好きだった母。最近は外に出ても、近所の人に声をかけずに戻ってきてしまいます。ちょっとしたことですが……何か様子が変です。
【対応1】本人と一緒に近所の人と井戸端会議をしてみる。
普段の本人の様子をよく観察すると、なぜ近所の人と話をしなくなったのかがわかることがあります。例えば、「最近言葉が出づらそう」「段取りを忘れる」などといった、近くにいる家族だからこそわかる些細な変化が原因で、近所の人々とのコミュニケーションが難しくなっている可能性があります。
そんなときは、思い切って、家族も一緒に井戸端会議に参加してみましょう!実際にその様子を見ていると、本人が「うまく話ができない」と困っていたり、「嫌われている」と一方的に勘違いをしていたりするなど、対話を避けている理由がわかるかもしれません。家族が間に入り、コミュニケーションをフォローしながらかかわることで、これまでの人間関係を維持することができます。
【対応2】新たなコミュニティに誘ってみる
もし、本人が今のコミュニティにいるのはもう難しいと感じている場合、本人が無理なく通えそうなほかのコミュニティを探し、誘ってみましょう。本人の認知機能の状態などに応じて、より少人数のところなど、参加しやすいところがいいでしょう。「認知症カフェ」は全国的に広まっています。少しずつ慣れることで、居間の本人にとって心地のよい場所になるでしょう。
大切なのは、家族以外の人とも安心してコミュニケーションがとれる環境があることです。そんな「居場所」を、本人とともにのんびり探してみましょう。
【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子
【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子
認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.07.20