10年連続で部員数減
高校野球人口が減少の一途を辿っている。
日本高校野球連盟によると、2024年の高校野球人口は12万7031人で、10年連続で減少となった。
部員数のピークは、14年の17万312人。最盛期に比べると、現在は4分の3程度だ。
では、加盟校数はどうか。ピークは05年の4253校、24年は約1割減の3798校だ。
部員数減少の最大の理由は少子化である。出生数は8年連続の減少で、22年には77万759人と、初めて80万人台を割った。23年は72万7277人で、前年を5・6%も下回った。
しかし、少子化による部員数の減少は、野球に限った話ではない。他の競技も、軒並み部員数を減らしている。
他の競技に比べて野球が不利なのは「カネがかかる」ことだ。インターネットで用具類の値段を調べてみると、平均でスパイクが1万円、グラブが1万2000円、バットが1万5000円。ポジションがキャッチャーともなると、ミットにレガース、マスク……。自費で全てを賄うのは困難だ。
部員数の減少により、近年は「連合チーム」が増えてきた。今夏、神奈川県では田奈、釜利谷、永谷、横浜明朋、三浦初声、海洋科学、平塚農商の7校の県立校が「連合チーム」を組んで県予選に臨んだが、1回戦で光明相模原に3対13で敗れた。
その一方で、私学の強豪は3ケタの部員数を抱えている。
以下は昨年夏の甲子園出場校の部員数ベスト10。
1位・八戸学院光星151人
1位・広陵151人
3位・浦和学院125人
4位・創成館124人
5位・聖光学院116人
6位・花巻東109人
7位・慶應義塾106人
8位・近江104人
9位・東海大甲府102人
10位・立命館宇治101人
上位10校はいずれも私立校で、公立校はひとつも入っていない。近年の高校野球は“私高公低”に、さらに拍車がかかっている。
ここまで格差が拡大すると、公立校が全国の頂点に立つのは難しいのではないか。春は09年の清峰(長崎)、夏は07年の佐賀北(佐賀)を最後に、公立の優勝校は出ていない。
高校野球が抱える問題として部員数の減少を先にあげたが、一部強豪校への偏在も大きな問題と言わざるを得ない。
とはいえ、部員数を制限する“総量規制”は憲法が保障する「学問の自由」を侵害しかねない。悩ましい問題だ。
初出=週刊漫画ゴラク2024年8月2日発売号