東京五輪 海外バレーコラム
アメリカ女子、トンプソン34本の大当たりで中国を撃破 男子ブラジル代表ドグラス「LGBTQIA+も同性愛者以外の人と同じく最高レベルでバレーできることを僕は証明している」
女子の初日にトルコの0-3で敗れた中国は、2戦目となるアメリカ戦で巻き返しを図ったが、アメリカのOPジョーダン・トンプソンに34得点され、2敗目を喫する。
■中国らしさがまだでない
初日のトルコに続き、アメリカにも0-3で敗れた中国。初戦はトルコの猛攻に圧倒され、14-25のスコアが物語るように、何をやってもうまくいかない状態であった。
アメリカ戦ではOHチョウ・ジョウチョが被ブロックを食らい、リ・エイエイにメンバーチェンジして、チームの調子を上げてきた。しかし、この日もまたしても世界のエース、シュテイのお株を奪ったのは、アメリカのOPジョーダン・トンプソンで、スパイク、ブロック、サーブと34得点の大活躍だった。それに助けられ、逆側OHの攻撃も効果的だった。「コートであろうとベンチであろうとチームのためにできることをやろうと思いました。チーム内で自分の役割をしっかり認識して、それに徹しました。チームの勝利に貢献したかったので、そこに集中しました」とトンプソンはFIVBのインタビューに答えている。
またリベロのジャスティン・ウォン-オランテスがレシーブの位置を的確に把握し、ブロックとレシーブ両方のディフェンスで攻撃陣を盛り立てた。アメリカは先月のネーションズリーグでも何試合かはOHキンバリー・ヒルをリベロにするなど、万が一リベロが出場できないような場合にも、しっかり準備している。
中国はリオ五輪でも初戦を落とし、グループリーグ4位通過ながらも優勝したが、精神的な立て直しが必要だ。
■40歳の今が一番充実しています
前日の男子ブラジルについで女子ブラジルも、2戦目はフルセットに追い込まれての勝利だった。ドミニカ共和国のブロックや粘り、OHとMBのマルチネスコンビに苦戦したブラジルを引っ張ったのは、この日40歳の誕生日を迎えたMBカロル・ガタッスだ。「日々の出来事すべてが素晴らしいです。40歳を迎え、五輪を戦っているなんて、最高の神からの贈り物だと思います。ドミニカはブロックが厳しく、いい動きでした。勝てて嬉しいですし、大会の中でもっと成長していきたいです。ひとつひとつ次の試合に集中していきたいです」と試合後のインタビューで述べている。その次の相手となるのは日本だ。カロルの他にもう一人、控えのOPロザマリア・モンチベレーが出てきた時も要注意だ。
■僕は僕らしく
ブラジル男子のOHドグラス・ソウザは、優勝と同時にもうひとつ大きな目標がある。それはLGBTQIA+(多様な性的マイノリティー)への理解の向上だ。「僕たち性的マイノリティーは、すべての人と同じです、誰の上にも立とうとは思いません。僕たちは我々の権利が欲しいんです。他の人と同じく、できる限り最善の方法で扱われることを望んでいます。LGBTQIA+だって他の同性愛者以外の人と同じく、最高のレベルでバレーができることを、僕は証明していると思います。平等を求めることが必要ですし、それが僕がスポーツを通してやっていることです。まだ始まったばかりですけれど、年々理解が深まることを望みます」と、開幕前のCOB(ブラジル五輪委員会)の会見で、多様性について話している。この彼の堂々とした態度に共感する人や、彼が選手村に入ってからインスタグラムで紹介している「五輪あれこれ」がおもしろいと評判になり、彼のインスタグラムのフォロワーはうなぎのぼりだ。
初戦ではなかなかチュニジアに追いつけず出だしが悪かったブラジルに、途中出場でいい流れを引き寄せたドグラスは試合後、「(フォロワー急増は)びっくりしました。でも僕はここに自分の仕事、バレーボールをするために来ているし、それが第一です。初戦の固さはありました。五輪まで来ればランキングなんて関係ない、どこも強いチームです」と気を引き締めた。
ドグラス・ソウザのインスタグラム:Douglas Souza (@douglasouza)
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
写真提供:FIVB
情報提供『バレーボールマガジン』
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公開日:2021.07.29