竜巻が起こりやすいのは雨の降っていない場所
発達した積乱雲の周辺には、さまざまな雲や現象が見られます。上図はそれをまとめたイラストです。
このなかでとくに注意が必要なのが、積乱雲の雲底で雨の降っていない領域(rainfree cloud base)です。この部分に壁雲(P179)が現れたときは、そこから竜巻が発生する恐れがあります。
また、降水域を取り囲むようにできる土手のような雲がアーチ雲(P178)です。
天気はアーチ雲を境に急変します。アーチ雲が頭上に差しかかると、ガストフロントと呼ばれる激しい突風が吹き、ほどなくして激しい風雨に見舞われます。この場所では稀にガストネードと呼ばれる弱い竜巻のようなものが発生します。
離れた位置から積乱雲を見ると、雲のてっぺんが平らになっています。この平らな部分は対流圏と成層圏の境目、対流圏界面です。そしてまるでその部分を突破するように現れる雲の出っ張りがオーバーシュート(overshooting top)です。これができている積乱雲は、とくに危険な現象を起こしやすいので要注意です。
出典:『雲の図鑑』著/岩槻秀明
【書誌情報】
『雲の図鑑』
岩槻秀明 著
季節ごとに見られる雲や、気象予報の役に立つ雲など、雲の外観から判別できる雲図鑑に加え光の作用によって見られるレアな雲や、雲ができる過程など科学的なメカニズムまで解説。ポケットに入れていつでも楽しめる雲図鑑なので自粛の際でも公園や河原で子供と遊ぶ時や、外に出られなくても楽しめる
公開日:2022.01.03