氷晶からなる白い糸くずのような雲
日々の天気変化に影響を与える雲のなかでは、もっとも高いところに発生します。繊維のような質感がある雲で、一般に「すじぐも」と呼ばれています。雲の色はふつう白色ですが、ときに分厚い布切れ状になって太陽の光を遮り、雲底が灰色になることもあります。
太陽や月のまわりにハロができることも
雲は氷晶でできています。そのため太陽や月の近くでは、光を屈折・反射してさまざまなハロ(P240)をつくることがあります。ただ、巻雲のハロは部分的で、雲の一部がほんのり色づいて見える程度のこと
晴れしらすに雨しらす…天気を知らす雲?
巻雲は、低気圧接近時によく現れるため、雨兆の雲として有名です。一方で天気と関係なく現れるものもあります。明治~昭和期に活躍した気象学者の藤原咲平博士は、天気に関係ない巻雲を「晴れしらす」、雨兆として現れる巻雲を「雨しらす」と呼ぶことを提唱しました。これはラテン語のcirrusと「知らす」をかけた粋な名前です。そのほか、上空の強い西風に伴って現れるジェット巻雲や、積乱雲から切り離されてできた巻雲などもあります。
出典:『雲の図鑑』著/岩槻秀明
【書誌情報】
『雲の図鑑』
岩槻秀明 著
季節ごとに見られる雲や、気象予報の役に立つ雲など、雲の外観から判別できる雲図鑑に加え光の作用によって見られるレアな雲や、雲ができる過程など科学的なメカニズムまで解説。ポケットに入れていつでも楽しめる雲図鑑なので自粛の際でも公園や河原で子供と遊ぶ時や、外に出られなくても楽しめる
公開日:2021.12.14