肺というと、呼吸をするたびに膨らんだりしぼんだりする、大きな風船のようなものだと思っている人は多いのではないでしょうか? しかし実際には、肺そのものが膨らんだりしぼんだりしているわけではありません。まずは肺の構造について、お話しします。
肺は小さな袋状の器官の集合体
肺は、体のなかでもかなり大きな器官です。右と左に分かれており、心臓のある左側の肺が少し小さいのが特徴です。 肺全体は、言ってみれば大きなスポンジのような形状をしています。このスポンジを構成しているのは、「肺胞」という空気を含んだ直径0.2mmほどの袋です。たくさんの肺胞が集まって肺を形成し、そこに空気を届けるための気管支が通じて、さらに、「肺動脈」や「肺静脈」につながった無数の毛細血管が張りめぐらされている様子は、まるで、生い繁った木の枝のような構造です。そして、肺の表面は胸膜という薄い膜に覆われています。
肺は自分で膨らんだり縮むことはありません
肺の下に位置する横隔膜も筋肉でできており、横隔膜と肋間筋(肋骨の間にある筋肉)の力で胸郭(肺や心臓が入っている袋状の構造)を膨らませます。しかしながら肋間筋の力は弱く、実質はほとんど横隔膜の力で呼吸をしています。人間が呼 吸をする場合、この胸郭が膨らむ圧力を利用して空気が口や鼻から肺に流入し、肺が膨らみ、横隔膜が収縮することで胸郭が縮み、肺から二酸化炭素が出て行きます。このように、肺は周囲の助けを借りて空気を出し入れしていますので、もし肺だ けを取り出すと呼吸は不可能です。また、胸に何かが刺さったりして胸郭に穴があくと、その穴から胸郭に空気が入り込み、肺がしぼんでしまい呼吸ができなくなります。ですので、穴自体は小さくても深刻な重症になることがあります。
【書誌情報】
『肥満がいやなら 肺を鍛えなさい』
著:加藤雅俊 (薬剤師、体内環境師、薬学予防医療家)
肺の主な役割は「呼吸」と「血液循環」。酸素を含んだ血液を体内に循環させているが、十分に機能しないと不調を招く。
本書では、肺を鍛える方法として「肺ストレッチ」を提案。肺と血液の関係を説明しながら、その方法を紹介する。
公開日:2020.03.14
オススメ記事
PREVIEW
ダウンスウィングで左に体重を乗せようとする動きは無意味!NEXT
ストレッチは心と体を元気に健康にする!