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動きに強弱やダイナミクスを作る「ビート」の重要性とは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

リズムとビート

●身体の連動のタイミングとなる「リズム」
身体が安定して存分に可動し、それによって柔軟性が得られるようになると、自分自身の動作にリズムを感じられるようになります。これは、軸の作り方の違いや連動させる部位の組み合わせの違いなどによって生じる、個々のタイミングのイメージと言えます。

たとえば、片足の足底と膝を下ろした上に、みぞおちを乗せ込んで前方へ移動させるAタイプの流れのタイミングと、片足の足底に股関節と首の付け根を揃えて身体を押し出して前方へ移動するBタイプの流れのタイミングはもちろん違うため、獲得するリズムも違ったものになります。また、このリズムは4タイプの特性に加え、自分の身体がよどみなく連動した結果として、自分のリズムとして認知されます。

●動きに強弱やダイナミクスを作る「ビート」
リズムのほかに、さらに細かい波動として感じられるのが、体内の刻みです。これは、身体の中で振動するビートとも言えます。体内で細かく振動しているビートを、ときに小さな波として、ときには大きな波として使うことによって、動きに強弱のダイナミクスを生んでいくのです。外に向かって見えるリズムも、自分の骨格の中で生まれる細かなビートが基になっています。

このビートを身につけておくことによって、一定のリズムの繰り返しで身体をコントロールすることができるようになります。さらには、大きなリズムで動きながら、突然アップテンポに切り替えて相手をかく乱するフェイントのようなダイナミクスを作ることもできます。動きの遅速や強弱を思うままにコントロールすることができるのです。

武道でもビートは重要な要素です。たとえば剣道では、相手と剣先を合わせたときに、剣先が細かく震えていることがあります。これがビートであり、単に手先が震えているということではなく、骨格の共鳴が剣先に現れているということです。「武者震い」も同様で、身体を固めないようにと、修行を積んだ武者の無意識の身体作用を持って細かく震えているのです。恐怖に震えるのではなく、「やってやるぞ」と心が勇み立っている状態が「武者震い」だということです。

●リズムに変動・変化を与えるビート
誰でも全身がよどみなく連動して動いたときのパフォーマンスは、最大限に近いものになります。そしてそれを可能にするのが、独自の心地良いリズムです。細胞レベルで細かく振動しているビートに逆らわないイメージで、繰り返しジャンプをしてみましょう。手拍子のように一定のリズムでジャンプをしたとき、外からは単純なジャンプの繰り返しに見えるかもしれません。

しかし、リズムを一定に保つための予備動作から、踏み切り、着地の衝撃を吸収して次の動作に移るまで、全身がビートとリズムを一定に保つようにしているのです。さらに一定のリズムを保ちながら、ときには小さい波を、ときには大きな波を加えることで、動きに強弱のダイナミクスが生まれます。小さい波が小さなジャンプ、大きな波が大きいジャンプです。イメージは体内のビートに決して逆らわないこと。この動作を繰り返し行うことで、自分のリズム感を手に入れることができるようになります。このリズム感が軸のコントロールにもつながっていくのです。


【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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