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鋭い判断力や豊かな発想力が生まれる充実した脳にする為に重要なこととは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

脳が安定すると身体も安定する

●脳を安定させる「フランクフルト平面」と「カンペル平面」
安定して立つということは、とても重要なことです。安定しないと脳は不安要素を抱えてしまい、本来の働きをすることができません。安定して初めて脳は、充実して機能するのです。人のすべての動きに指令を出すのは脳であり、充実した脳からは鋭い判断力や豊かな発想力が生まれますから、まずは脳を安定させることが重要です。

「禅」や「ヨガ」、「正座」などの世界観はここから生まれていると思われます。では、脳を安定させるにはどうすれば良いのでしょうか?脳はその特性として、垂直水平が保たれると安定します。ですから、脳を覆っている頭とう蓋がい骨こつを垂直水平に保つ必要があります。人の頭の安定角度は、物を見据えたときにふたつの平面に分かれます。ひとつは、耳の穴(耳孔)と目の下(鼻骨正中上頂部)を結ぶ線が水平になる状態です。

もうひとつは、耳の穴と鼻の頭(上顎骨正中下縁部)を結ぶ線が水平になる状態です。この頭の安定角度は、人によってタイプが分かれるものです。口腔歯科の世界では、このふたつの頭蓋安定平面のことをフランクフルト平面、カンペル平面と呼んでいるようです。自分に合った平面を整えることで、精神的な緊張が解けるだけでなく、身体のあらゆる部位の可動性を得ることができ、しなやかな運動動作を手に入れることができます。

これらふたつの平面は、私が提唱している「4スタンス理論」のクロスタイプ、パラレルタイプに当てはめることができます。そのため私は、フランクフルト平面をクロス平面、カンペル平面をパラレル平面と呼んでいます。

「あごを引け」はNGワード

正しく立つために「あごを引く」というキーワードが使われることがありますが、これには注意が必要です。パラレルタイプの人が平面を維持する、つまり「パラレル平面」を意識すると、あごは上がったように見えます。一方で、クロスタイプの人が「クロス平面」を意識すると、あごは引いた感じになります。タイプによって、脳を安定させるための平面の角度が違うとい
うことは、あごの角度も違うということです。

ですから、「あごを引いて」あるいは逆に「うつむかずにあごを上げて」という指示は、万人に当てはまるものではないのです。あごが上がったように見えるパラレルタイプの人に「あごを引いて」と言うことは、「整えた平面を崩すように」と指示しているのと同じことで、逆に身体を緊張させ、スムーズな動きを妨げます。そのため、指導者はもちろん、競技者も、自身のタイプの特性に沿って身体を安定させた感覚を大事にすることが重要です。


「クロス平面」は耳孔と鼻骨正中上頂部を結んだ線、「パラレル平面」は耳孔と上顎骨正中下縁部を結んだ線のことを言います。これらがそれぞれ地面に対して水平になるように頭を保持したときに、脳がもっとも安定し、活発に働きます。ですから、パラレルタイプに比べてクロスタイプはやや下目遣いになります。

たとえば整体で、首をひねって「ボキッ」と鳴るような施術がありますが、これは、その人のタイプに合ったポイントでうまくひねりを加えることができたときに音が鳴るもの。タイプの条件を理解せずにひねると、危険な行為だと言えます。タイプに応じた動きをしたときに、人は最大の能力が発揮できますから、タイプを無視してすべての人に均一な動きを強いることは意味がないのです。

【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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