体操[鉄棒]競技別解説
鉄棒を身体の中に入れてトランスフォーム
つり下がったところから競技が始まる鉄棒は、つり輪同様に非日常的な動きの連続で、見た目以上に難しい競技と言えます。つり下がった状態から身体を回すには、まず、蹴り上がりの延長線上で鉄棒の上に倒立しなくてはなりません。「鉄棒の上での倒立」は、この競技の基本中の基本と言えるでしょう。倒立をしたら、次は鉄棒を自分の身体のスペースに入れ、鉄棒の周りを変体しながら回っていきます。鉄棒はしなり、体重を超える遠心力がかかっていますから、それに耐える強い握力を持っていること、そして、回旋するために身体の形を変えるタイミングをしっかりと捉えることも必要になります。
鉄棒から手を離して行う離れ技では、どこで手を離すかによって戻れる場所が変わるため、リリースとキャッチをひとつの動作として捉えることがポイントです。
競技の起源
鉄棒競技の原型は19世紀。「ドイツ体操の父」と呼ばれるF.L.ヤーンが始めたと言われている。当時はいろいろな形で木にぶら下がる競技だったが、その後、握りの太さが細くなり、鉄の弾力を利用することで、競技の内容は大きく変化していった。ヤーンはまた、平行棒を考案したことでも知られている。
全身の力で鉄棒を固定支持して倒立
離れ技といった大技の前に、基本となる鉄棒上での倒立を完璧に体得してほしい。
【A】みぞおちと膝でポイントを作る
倒立するために膝とみぞおちでバランスを取る感覚を持ち、たたんだ膝を真っ直ぐに上げていく。これに連動して骨盤がセンターに入ってくる。
【B】首付け根、骨盤、足首で軸を作る
首付け根、骨盤、足首がセンターで結ばれるイメージを持ち続け、この軸がブレないように倒立していく。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.06.24