仏式のお葬式①通夜
葬儀・告別式と同様の心構えを
通夜は、遺族やとくに親しい人々だけで故人と最後の一夜を過ごすものでしたが、現在は夜6〜7時頃から行われ、一般弔問客が集中して訪れるようになっています。
通夜の間は、喪主や遺族は基本的に故人のそばにつき添い、弔問客への応対や雑務は葬儀社や各係に任せます。焼香する際の弔問客には、黙礼で返します。
通夜ぶるまいでは、喪主と遺族は酒食をふるまい、弔問客をもてなします。
式場での席次例
式場での席次は通夜、葬儀、告別式を問わずに、喪主が棺に一番近い位置に座ります。一般的には、祭壇に向かって右側の列に喪主、遺族、親族が血縁の深い順に並び、左側の列には弔問客が座ります。
一般的な通夜の流れ
通夜の内容は地域によるちがいがありますが、一般的に僧侶による読経、遺族と弔問客の焼香、弔問客に酒食をふるまう通夜ぶるまいの順に進みます。
1 打ち合わせ
1時間半前までには式場入りし、葬儀社と打ち合わせをし、式の進行と段取り、通夜ぶるまいの料理などを確認。
2 僧侶の出迎え
控え室に案内して、打ち合わせをする。
3 受付開始
会葬者を迎えるために、各係は開式の1時間前から配置に着く。早めに来た弔問客は控え室等で待ってもらう。
4 開式の辞
一同入場、着席する。司会者が開式の辞を述べる。
5 僧侶による読経
僧侶が入場し、読経を行う。弔問客が多数の場合は、読経開始後すぐに焼香をはじめることもある。
6 焼香
喪主、遺族、親族、弔問客の順で行う。
7 喪主あいさつ
僧侶が退場したら、弔問への感謝を述べ、通夜ぶるまいの案内をする。
8 閉式の辞
司会者が閉式の辞を述べ、一同は式場から退出する。
9 通夜ぶるまい
喪主や遺族は弔問客へあいさつに回り、故人とのつながりを確認しておく。
※式次第は地域や宗派によって内容が異なる。
遺族の焼香の作法
お葬式での焼香は抹香を用い、弔問の際は線香を用いるのが一般的です。香をつまむ回数は1〜3回で、宗派により異なります。
立礼焼香
立ったままで焼香を行います。斎場や寺院の本堂でいすに座って行う場合に多く用いられます。
右手の三つ指(親指、人差し指、中指)で香をつまみ、目の高さまでおしいただいてから、香炉に静かにくべる。
遺影に向かって合掌する。
座礼焼香
自宅でのお葬式は、ほとんどが座礼焼香です。
前に出て、膝を折り座った状態で祭壇に進む。
抹香をつまみ香炉にくべ、遺影に向かって合掌し、膝を折り座った状態で祭壇から離れる。
回し焼香
盆にのった抹香と香炉を着席者の間で回す焼香の作法で、自宅でお葬式を行う場合に用いられることがあります。
香炉を目の前に置いて(置けなければ膝にのせる)、一礼してから焼香する。
合掌して、両手で香炉を次の人に渡す。
通夜ぶるまい
弔問客に対する慰労とお礼の意味合いが強くなっている通夜ぶるまいですが、本来は弔問客に食事をしながら故人を偲んでもらうという供養の意味があります。最近は、弔問客が通夜にだけ出席して帰ることも多く、遺族と親族、とくに親しい関係者だけで行うケースも増えているようです。
僧侶が参加する場合は、上座に案内します。喪主はその隣席に座り、法名の解説、初七日法要や納骨の日程など、今後の予定を確認する場となります。遺族は末席に座ります。控え室にお膳を運び、お勤めのお礼をかねて、僧侶と話すケースもあります。
通夜ぶるまいの習慣は地域によって異なり、通夜ぶるまい自体を行わない地域もあります。
【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年
【書籍情報】
『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』
著:奥田 周年
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公開日:2024.09.14