精液とおしっこは混ざらない
ここまで読んで、「え、精液とおしっこって、同じところから出てくるの?」「おしっこと混ざってそう……」と思った人もいるかもしれません。
結論からいうと、尿と精液が混ざることはありません。
順を追って説明しましょう。まず、おしっこ(尿)がつくられるのは、腎臓という器官です。腎臓は血液の中にあるいらないものを取り除き、きれいになった血液を再び体中にめぐらせる働きをしています。腎臓で「いらないもの」とされた不要物や余計な水分は、「尿」として膀胱にためられます。尿がたまると尿道を通って体の外に出しますが、ふだんは膀胱から尿道への出口は閉まっています。おしっこが勝手に少しずつ出てくることがないのは、そのためです。
さらに、射精が近づいてくると、カウパー腺液という液体も分泌されます。カウパー腺液には尿で酸性になっていた尿道をアルカリ性にして、酸性に弱い精子が死なないようにする働きもあります。
つまり、尿も精液も同じ尿道を通りはするけれど、精液が出るときは膀胱の出口は閉まっているので尿と精液が混ざることもないし、射精のときは精子が通りやすいための環境が一瞬にして整えられるのです。
おしっこと精液の出る仕組み
たまった尿が尿道を通り外に出る
精液が出るときは膀胱の出口は閉まる
【出典】『12歳までに知っておきたい男の子のためのおうちでできる性教育』著: 高橋幸子
【書籍情報】
『12歳までに知っておきたい男の子のためのおうちでできる性教育』
著:高橋幸子
男の子の「気になっているけれど、面と向かっては聞きづらいこと」パパママの「どうやって伝えたらいいかわからないこと」にこたえます!これから思春期を迎える男の子、思春期の入り口に立った男の子が知っておきたい「性の知識」をわかりやすく紹介。マンガ・イラスト図解・全編フリガナつきの読み物で、子どもひとりでも、家族でも読める1冊です。学校では教えてくれない、パパやママも伝え方がわからない、
・これから起こる体の変化と対応法
・家族や友達との距離感が変化し、心にも変化が訪れたときの対応法
・SNSや友達同士の噂に惑わされないための正しい「性の知識」の身につけ方
・体と心の変化に困ったとき、悩んだときの相談先の見つけ方
などを解説。
性教育は子どもを守るだけでなく、子どもの自己肯定感をも高めることができます。誰しも体や心に「境界線」をもっていることを学ぶので、自分も人も大切にできる・人と心地よい関係を築けるようになります。著者は、産婦人科医のサッコ先生こと高橋幸子先生。全国の小学校・中学校で性教育の講演を行ない、子どもたちの多くの質問に答え続けている高橋先生の、科学的にわかりやすく伝えるコツも満載です。
公開日:2024.08.22