記録媒体の名前と書きこまれた情報
DNAと遺伝子は、その持つ意味がまったく違います。これまで述べてきた通り、DNAというのはあくまでも物質名であり、遺伝子というのはどちらかというと概念的なものです。
辞典などで遺伝子を調べると、「遺伝形質を発現させる」という独特の表現がよく使われていますが、これは「遺伝情報に基づいてタンパクが産生される」という意味とほぼ同じです。
簡単にいえば、遺伝子は「どのアミノ酸をどのような順番で並べるのか」という塩基配列にコードされる遺伝情報なのです。
タンパク質はアミノ酸という分子が鎖状につながった物質で、真核生物では全部で21種類(人では20種類)のアミノ酸の並び順によってタンパク質の性質が決まります。
DNAは物質の名前であり、記録媒体の名前です。そこに書き込まれている情報のことを遺伝子というのです。
遺伝子というのは、これまでも述べてきたように、DNA(デオキシリボ核酸)という物質に刻まれた生命の設計情報なのです。
よくいわれる例に本が挙げられます。DNAは遺伝子情報を保持している物質本体、つまり本の紙となります。紙の上にはインクでプリントされた文字が並べられ、文章となってひとつの情報が伝えられます。
文字は4つの塩基(C・G、A・T)で、その並び順でいろいろな情報(遺伝情報)が記録されるのです。ちなみに、次項で解説します、「染色体」は一冊の本そのもので、「ゲノム」とは46冊が並べられている本棚になります。
DNAと遺伝子の違いとは?
DNAは物質の名前で、記録媒体の名前だ。そこに書きこまれた情報のことを遺伝子というんだ!
シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。
図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!
気になる中身を少しだけご紹介!消化管のおもな病気と症状とは?
放っておくとがんになる炎症とポリープ
消化管とは、口腔から始まり食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までの食物の通路のことをいいます。食道から胃までを上部消化管といい、食道にみられる病気で、近年増えているのが食道の粘膜が炎症をおこした「食道炎」です。その症状は、胸部の痛み、下障害(飲み込みにくい)、胸やけ、 香酸、などがあります。食道炎の中で多いのが「逆流性食道炎」で、これまでは高齢者に多くみられましたが、最近では若い人にも増えてきました。放置すると潰瘍に進行し、食道がんのリスクも高くなります。便秘が原因のひとつとされており、食生活にも注意が必要です。肝硬変患者の3大死因のひとつとなっているのが「食道静脈瘤」です(そのほかは肝がん、肝不全)。食道粘膜の下層にある静脈が太くなり瘤のようになった状態です。これは「門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)」が原因となって発症します。「門脈」とは、腸で吸収された栄養素を肝臓に送り込む血管のことで、門脈を通して取り込んだ栄養は肝臓で処理されて全身に運ばれます。
しかし、肝硬変になると血液が流れにくくなり、それまで門脈を流れていた血液は、本来のルートからはずれて食道の血管を流れるようになります。食道への血流が多くなる結果、血管が船のようにふくれあがって食道静脈瘤になります。手当が遅れると瘤が破れ大出血してショック死をすることもある怖い病気です。胃の粘膜の炎症でおきる「胃炎」は、急性胃炎と慢性胃炎に分けられ、急性胃炎は喫煙、暴飲暴食、アルコール飲酒、ストレスが原因のものと、感染性(ブドウ球菌、アニサキス)があります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、や加齢などの複数の因子が絡み合っているとされます。胃の粘膜にポリープができる「胃ポリープ」には、放置しても問題のない「胃底腺ポリープ」、比較的ピロリ菌が下人でなることが多い「過形成性ポリープ」、正常組織よりがんを発症しやすい前がん病変と考えられている「胃腺腫ポリープ」などがあります。
消化官のおもな病気
口腔
歯周病・口の中の腫瘍・嚥下障害など
食道
食道炎・食道静脈瘤など
胃
胃炎・胃ポリープなど
十二指腸
十二指腸潰瘍・十二指腸炎
小腸
クローン病・小腸腫瘍など
大腸
大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎など
肛門
痔核疾患・痔ろう
★生命の設計図といわれるDNA
★細胞には2通りの死に方がある!?
★貧血はどうして起きるの?
★がんって本当に遺伝するの?
などなど気になるタイトルが目白押し!
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢
病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊。細胞、血液、がんーー生命の不思議と病気の原因を、面白くわかりやすく探る!
公開日:2023.08.07