知っておくと面白いそれぞれの違い
住宅に付属する外部空間にはベランダ、テラス、バルコニーなどの呼び名があります。その違いは「部屋の仲間」か「庭の仲間」かという視点から、説明することができます。
ベランダは室内から連続するようにつらなる外部へのつなぎの空間です。ヨーロッパのイメージがあるかもしれませんが、意外にもその発祥はインドだといわれています。
高温多湿なこの地に進出したイギリス人が厳しい暑さをしのぐために、現地の建物を参考につくったのが始まりです。大屋根をかけることで強い日差しをさえぎり、涼しい風も得ることができます。開口部は大きくとられ、部屋を延長した、いわば第2の居間のように多くの時間を過ごす場所です。
一方、テラスは庭と一体になった外部空間です。室内から出入りできるのが一般的ですが、室内からは開口部で仕切られており、屋根もありません。より外部に近い空間だといえるでしょう。
バルコニーは2階以上が建物から張り出す外部空間です。ヨーロッパのアパートメントでは、居住空間は2階以上に設けられていました。庭を持てない人々のためのささやかな庭がわりの空間なのです。
日本家屋には、ベランダと似た縁側というものがあります。「縁側で夕涼み」というシーンを連想される方もいらっしゃることでしょう。縁側は屋根を持ち、部屋を延長させた半内部空間です。
一般的には半間(約91センチ)ほどで、それより広いものは広縁と呼びます。雨のかかる縁側は濡縁と呼ばれ、これは日本版のテラスといえるかもしれません。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク
【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク
身近な建物が楽しくなる。ナゾとギモンを一挙解決!屋根の形は、どうやって決まるの? 正面だけが西洋風の看板建築って、どんな構造? うだつが上がらないの、うだつって何? 日本の建築をテーマに、さまざまな建築のナゾを楽しく解き明かします。古民家から、お寺、神社、城、庭、代表的な近・現代建築まで、建築家ならではの視点で、建築物の見方、楽しみ方を図解します。理系の知識がなくても大丈夫。私たちの生活や伝統美など、暮らしの文化に根ざした日本建築のスゴさと面白さがわかります。建築士しか書けない精緻なイラストを満載。60項目で楽しむ建築エンターテインメント本です。
公開日:2021.11.15
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