血管は心臓に近づくほど太くなる
全身をくまなく巡り、血液を輸送するパイプの役目を担っている血管は、動脈(どうみゃく)、毛細(もうさい)血管、静脈(じょうみゃく)の3つで構成されています。
血管のなかで最も太いのは大動脈で、心臓から体の真ん中を通り、ほかの動脈へ血液を送り出しています。その太さは10円玉の直径よりも少し大きめ。動脈の壁は厚く、弾力性があるため、めったなことでは切れません。この弾力が失われ、かたくなった状態が動脈硬化といわれるものです。
いちばん細いのは毛細血管で、直径は約120分の1ミリメートルほど。赤血球などの血球がやっと通れるくらいの太さなので、人間の目で見ることはできません。毛細血管は体の隅々まで巡り、酸素や栄養素を届ける役目を担っています。毛細血管はかたい骨のなかにもあります。
血液は6000キロメートルを旅する
皮膚から透けて見える血管は、すべて静脈です。動脈が心臓のポンプ作用で血液を送り出すのに対し、重力に逆行する静脈には血液が逆流するのを防ぐ弁がついていて、全身の筋肉のポンプ作用で心臓まで血液を戻しています。
静脈は血液を運搬するだけで、ほとんど圧力を受けないため、血管壁は薄く、弾力性もそれほどありません。
では、これらの血管をすべてつなげると、どれくらいの長さがあるのでしょうか。答えは約6000キロメートルで、日本列島のおよそ3倍の長さになります。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井建雄 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
順天堂大学保健医療学部特任教授、日本医史学会理事長。1953 年、大阪府生まれ。1978 年、東京大学医学部卒業後、ドイツのハイデルベルグ大学に留学。帰国後、東京大学医学部助教授、順天堂大学医学部教授を歴任。医学博士。専門は解剖学、細胞生物学、医学史。専門書だけでなく一般向け書籍まで、著書、監修書を多数刊行。近著書は、『医学全史』(ちくま新書)、『図説医学の歴史』(医学書院)など。
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公開日:2021.12.11