肌荒れ
肌荒れは血虚のようなカサカサ体質でも悪化しますが、風熱邪や湿熱邪のような外からの邪気によっても起こります。乾燥しているのか、熱をもってジュクジュクしているのか、タイプによって処方は異なります。肌を清潔に保ち、しっかりと保湿するセルフケアも行いながら、肌荒れを起こしている原因にあった治療を受けることが大切です。
体質からみる血虚による乾燥肌
乾燥によって起こる肌のトラブル
処方:当帰飲子
肌のかゆみもとる処方を
血虚になると肌が乾燥して、粉をふいたような状態になります。秋冬の湿度が下がる季節では、より乾燥がひどくなるので注意しましょう。
乾燥をうるおす作用をもつ四物湯が含まれている当帰飲子を用います。この処方には肌のかゆみをとる作用もあります。飲みはじめてから効果があらわれるまで時間がかかるので、乾燥がひどくなる前に、早めに飲みはじめるのがポイント。肌のうるおいをとり戻すまで、血虚を根気よく治していきましょう。
病邪からみる風熱による肌荒れ
熱をもって赤みがかっている
処方:消風散
肌がはれているような状態に
ジュクジュクまではいかないが、風熱によって、赤くはれているようなときには、消風散を用います。軽いニキビにも消風散を使いますが、瘀血がからんできたら治頭瘡一方を処方します。
病邪からみる湿熱による肌荒れ
炎症が強くジュクジュクとしている
処方:黄連解毒湯
炎症をしっかりとる処方を
湿熱によって炎症が強いときには、消炎作用のある黄連解毒湯を用いて、体の中の湿と熱をとりながら血を補います。湿熱の肌荒れが慢性化した場合には、温清飲を用いることもあります。
養生・セルフケア
食べもの
ニキビが出るときは、甘いものや脂っこいものは熱に変わって症状を悪化させます。ナッツ類、チョコレート、刺激の強い食べものなどはひかえましょう。不規則な生活で血の巡りが悪くなるのも、ニキビには大敵です。
【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎
【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝
漢方の処方によく使われる生薬と漢方薬の事典。
漢方の元となる生薬図鑑では、119の主な生薬について、元となる植物を、写真と細密なイラストで紹介。
薬効や処方だけでなく、生薬に対する知識や理解をより深めることができます。
不調やトラブルに対する漢方処方は、体質や病邪からみています。
どんな体質の人がその症状に陥りやすいのかどこに原因があるのか、どの漢方薬を処方するのか。およそ30の症状について個別に解説しています。
専門家による「証」を基準とせず、体質で判断できるので、一般の方にもわかりやすい内容です。
漢方薬については、298処方の適応症状、体質、分量、出典などを紹介。
漢方を学ぶ人だけでなく、漢方薬局や漢方処方に興味のあるすべての方におすすめの一冊です。
公開日:2024.12.22