医療費・教育費・所得税がかからないありえないほど好待遇の国がある【図解 地理と経済の話】
天然資源で潤うブルネイ
東南アジアのボルネオ島北岸に位置するブルネイ。正式名称をブルネイ・ダルサラーム国といい、スルタン(イスラムの君主号)と呼ばれる国王が治めるイスラム国です。
国土は小さく、総面積は三重県とほとんど同じ。にもかかわらず石油や天然ガスなど豊富な天然資源を背景に、世界でも有数の富裕国に数えられます。国民の生活も豊かで、そのうえ個人に対する住民税や所得税の徴収はありません。医療費・教育費も無料と社会福祉も充実。絶対君主に近い国王のもとで内政も安定しており、地上の楽園といっても決してオーバーではないでしょう。
そんなブルネイも、将来的な不安を抱えています。天然資源の枯渇です。石油にしろ天然ガスにしろ埋蔵量にはかぎりがあります。それが枯渇するのは、予想では20~30年後。もちろん、ただ手をこまねいているわけではなく、ブルネイ政府は経済の多角化、新産業の育成を急いでいます。また、多額の海外資産を保有・運用するなど、投資にも積極的です。
日本はブルネイにとって最大の貿易相手国のひとつでですが、日本にとってもブルネイはエネルギー資源の安定供給といった面から重要なパートナー国です。遠くない未来に訪れる天然資源枯渇問題は、決して他人事ではありません。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!
公開日:2024.10.13