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冷蔵庫が冷えるのは、どんな原理か?/熱サイクルとペルティエ効果【物理の話】

Text:長澤光晴

熱サイクルとペルティエ効果

家庭の台所に欠かせない電化製品の1つに、冷蔵庫があります。

冷蔵庫のように、ものを冷やすためには熱サイクルや熱電効果などが使われています。

ここではまず、一般の家庭用冷蔵庫で採用されている、圧縮と蒸発熱を使った、熱サイクルによる冷却方法について紹介しましょう。

家庭用の冷蔵庫では、イソブタンなどの冷媒物質が使われています。冷媒物質は、通常は気体なのですがふつうの温度でも圧力が高いと、液体になる性質を持っています。

気体状態の冷媒物質は、圧縮機で圧縮されたあとに凝縮器で放熱されると、少し高い圧力がかかった液体になります。

次に、この液体を膨張弁または毛細管を通して、蒸発器へ送り、圧力を下げると液体の沸点が下がって、液体は激しく蒸発しはじめます。

そして、蒸発(気化)するときにまわりから熱(気化熱)を奪うので、周囲の温度を下げることができるのです。

蒸発して気体になった冷媒物質をコンプレッサーへ戻して、同じ行程を繰り返すことで、蒸発器の周りを常に冷たくすることができます。

この方法は、冷媒物質を圧縮するためにコンプレッサーを使うので、振動や音が出ます。

それを解消するために、機械的な動作なしで熱の移動を行なうことができるペルティエ素子が冷却に使われることがあります。

ペルティエ素子は、異なる2つの金属や半導体の接合点に電流が流れるとき、一方の接合点で吸収した熱を他方で放出する現象(ペルティエ効果)を利用するものです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。


水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。

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