サイフォン式トイレの排出が終わっても、水溜まりには適度な量の水を残す理由とは?【物理の話】

サイフォン式トイレのしくみ
一方、サイフォン出口付近にある水は、自分より上(サイフォン上部まで)の水の重量を支えているので、結果として大気圧よりも大きな圧力P1になります。大気圧との圧力の差P1-P0は、バケツの水面とサイフォン出口の高低差に比例します。
圧力P1は出口付近の水をサイフォンから押し出そうとしますが、大気圧は水をサイフォン内に押しとどめようとします。出口付近の水の圧力が大気圧に競り勝てば、水は出口から流れ出します。いったん流れ始めればサイフォンは、バケツの水面がサイフォンの出口より低くなるまで入口からどんどん水を吸い出すことになるわけです。

サイフォン式の水洗トイレは、排水管をサイフォンとして使います。レバー操作によって大量の水を水溜まりに流し込み、その水ごと排泄物をサイフォンで吸い込んで排出するのです。
排出が終わっても水溜まりには適度な量の水が残ります。水溜まりは、下水管から異臭が流れ込んで来ないようにするために必要なものなのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。

水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。
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