別名「花祭り」とも呼ばれるお釈迦様の誕生日。
4月8日は仏教の開祖であるお釈迦様がお生まれになった日とされ、各寺院では「灌仏会」「浴仏会」または「仏生会」と呼ばれる行事が行なわれます。一般にはお寺の「花祭り」として親しまれていますが、仏教系の幼稚園などに通っていた人にはなじみのある行事かもしれません。
日本に仏教が伝わった約半世紀後の奈良時代、606(推古4)年にはじめて行なわれたといわれるほど歴史あるしきたりです。灌仏会の日には境内に色とりどりの花で飾ったお堂「花御堂」が作られ、その中に入れた水盤に甘茶を満たしてお釈迦様の像(誕生仏)が置かれます。参拝者はひしゃくで甘茶をすくって、誕生仏の頭上にかけて祝い、無病息災を願います。
この甘茶は、お釈迦様が生まれたときに天から舞い降りた九頭の龍が産湯として香湯をかけたという伝説に基づきます。元来は灌仏会でも香湯をかけていましたが、江戸時代に甘茶に代わりました。灌仏会では参拝者に甘茶をふるまいますが、このお茶を飲むと病気をしない、目につけると目がよくなるなどのご利益があるといわれます
また、習字上達にもご利益があるとされ、甘茶入りの墨で習字を練習するときれいな文字が書けるようになるといわれています。灌仏会は寺院の仏教の宗派に関係なく催され、東京では浅草の浅草寺や文京区にある護国寺などで「稚児行列」が行なわれ、稚児装束の子どもたちがねり歩きます。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』監修:千葉公慈
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』
千葉公慈 監修
「運気を上げる」をキーワードに、「春」「夏」「秋」「冬」の1年を通して行われる暮らしの中のしきたりと、成長や長寿なと?を祝う「通過儀礼」のしきたり、結婚や葬式なと?にまつわる「冠婚葬祭」のしきたりを解説していきます。また、しきたりの「そもそも」と、古来より受け継がれてきたしきたりの変化、地域色、慶事と弔事のしきたりなど、「しきたり七不思議」的な視点で読者の興味を喚起します。日本人ならぜひとも知っておきたい日本のしきたりを図解でわかりやすくまとめて紹介!
公開日:2021.09.06