自分に代わって地上を統治させるため
アマテラス・ツクヨミ・スサノオの三貴子が生まれた時、父のイザナキはそれぞれの統治場所を決めています。アマテラスには天上界が割り当てられました。それ以来、アマテラスは高天原にいて神々を統率していたのですが、ある時、地上は自分の子のアメノオシホミミが統治すべきだと考えます。
少々唐突な感じも受けますが、地上はイザナキ・イザナミが文字通り生み出したものですから、その正当な後継者であるアマテラスが権利を主張するのは当然のことでしょう。しかし、地上はオオクニヌシをはじめとした国津神たちの世界となっていて、アメノオシホミミが降っていても言うことを聞きそうにありません。
そこで、アマテラスに服従するよう勧告する使者が派遣されることになりました。ところが、2度にわたって派遣された使者は、いずれもオオクニヌシに懐柔されてしまったのです。そこでアマテラスは、強硬手段に出ることを決め、武神のタケミカヅチ(建御雷神)を派遣します。
武力を背景に国譲りを迫るタケミカヅチに、オオクニヌシの御子神のコトシロヌシ(事代主神)とタケミナカタ(建御名方神)は屈服し、オオクニヌシも国譲りを決断します。これで地上統治の条件はそろったのですが、アメノオシホミミは、地上の平定を待っている間に子ども(ニニギ)が生まれたので、その子を派遣してほしいと言ったのです。こうして、アマテラスの孫(天孫)が天降りをすることになったのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』監/渋谷申博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷 申博
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公開日:2023.01.16