2022日本シリーズ勝敗を分けたポイントはどこ?
今年の日本シリーズはオリックスが4勝2敗1分でヤクルトを下し、26年ぶりの日本一に輝いた。開幕3戦で2敗1分と追い込まれながら、そこから怒涛の4連勝。一体、シリーズの潮目はどこで変わったのか?全7試合を振り返りながら「勝敗を分けたポイント」を探ってみよう!
フレキシブルな選手起用
シーズン終了後にはオリックス・中嶋聡監督の「動く采配」が話題となった。投打ともに選手起用をフレキシブルに行い、逆に投手起用や打順をあまり動かさなかったヤクルト・高津臣吾監督との対比が生まれた。
これに関しては「結果論」という見方ももちろんできる。7戦中6戦が3点差以内と、昨年に続き「接戦続き」だった今シリーズ。どちらに転ぶか分からない戦いの中で、結果的に先に4勝をあげたオリックス・中嶋監督の采配が評価されるのは当然のことだ。
たとえば、投手起用――。今季、オリックスのクローザーは28セーブをマークした平野佳寿だったが、シリーズ初戦では1点ビハインドの8回裏に投入。結果的に村上に一発を浴びることになったが、そもそも「セーブシチュエーション」ではない場面での登板だった。
さらに第2戦では3点リードの9回裏に阿部翔太(今季3セーブ)をマウンドに上げ、内山壮真に痛恨の同点3ランを被弾……。この試合は結果的に引き分けに終わったが、初戦でクローザーを8回に投入し、次の試合で代役クローザーが同点弾を許す展開は、通常なら完全な「敗退モード」だった。
ところが、ここからが中嶋采配の妙。第4戦では平野でも阿部でもなく、ワゲスパック(今季5セーブ)を1点リードの9回に送り込み、見事セーブを挙げさせると、そこからは「シリーズのクローザーはワゲスパック」と腹をくくったのか第7戦まで4試合連続で9回に投入。ワゲスパック自身もこの4試合をすべて無失点の1勝3セーブと結果を残し、日本一の胴上げ投手にもなった。
選手の調子を見極め、シーズンの成績に左右されることなく適所に配置する投手起用が結果的に日本一を手繰り寄せたのは言うまでもない。さらに言えば、第1戦、第2戦で打たれた平野、阿部の両投手についても以降の試合でチャンスを与え、復調を促しながら投手としてのプライドを守った点も特筆すべきだろう。
「鉄壁リリーフ陣」についても、第4戦で「回またぎ」を記録した宇田川、山﨑颯を第5戦のベンチから外すという決断も下している。短期決戦は「調子のよい投手をどんどんつぎ込む」戦いが主流だが、7試合をトータルで計算し、投手に負荷をかけ過ぎない起用を行った点も大きかった。
打線についても福田周平、安達了一、佐野皓大、太田椋の4人を1番打者として起用。選手の調子や相性などを見極めながら試行錯誤していたことが透けて見える。
出典:『がっつり! プロ野球(33)』
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公開日:2022.12.06