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楽しみは膨らむばかり。日ハム2位・立野和明の”恐ろしいスケール”とは?

Text:高森勇旗

ドラフト候補の投球を捕球してその体感をつづる「ブルペンキャッチャー・高森勇旗」。今回は日ハム2位指名の立野和明。
第3回では、2月20日の練習試合で11球で1回を抑えた立野の「柔らかさとスケール」に踏み込む。

立野和明③ とにかく、柔らかい

足を上げ切った時に、一度タメを作る。そこから踏み出しリリースに向かうのだが、一連の動きがとにかく柔らかい。
腰も肩甲骨も実際に柔らかいのかどうかはわからないが、左足が地面に着地した力を確実にリリースに
つなげようという意識が見られる。
左肩を下げることによって、右腕を上げている。これも、ただ下げるのではなく、右腕が十分に回るスペースを空けているかのように自然な動きである。リリースのタイミングに力を集約させてくるわけでもないので、リリースで力むこともない。

フォーム全体が一定のリズムで流れ、その中にリリースも集約されている。よって、力んでいないのに力強いボールが叩き込まれるという印象を持つ。
これは、なかなかできる芸当ではない。どこか一つの練習をすればいいというわけではなく、フォーム全体の「つながり」が重要になる。本人に相当な身体感覚があるのだろう。

恐ろしいスケールの大きさ

なんと言っても、若い。まだ21歳である。恵まれすぎた体は、まだ大きくなりそうである。
それでいて、身体能力に頼らないバランスのいいフォームで投げられる。カットボールとスプリットの質を見ると、リリースの指先の感覚もかなりいい。
ここに体の強さが加わった時、一体どんなピッチャーになるのだろうか。楽しみはふくらむばかりだ。

欠点らしい欠点は、今のところ見当たらない。もちろん、プロに入り細かい技術や勝負の駆け引きなどはあるだろうが、それはプロに入ってから学んでいけばいい。
どうか、細かいことに気をとらわれず、このスケール感を保ったまま大きな選手に育ってほしい。そう思える大器であった。

次回「立野和明:④『普通のフォームで普通の球を投げたいんです』」へ続く
(初出:【野球太郎No.033 2019ドラフト総決算&2020大展望号 (2019年11月27日発売)】)

(捕球・文=高森勇旗)
1988年生まれ、富山県高岡市出身。
岐阜・中京高~横浜(DeNA)。高校時代は強打の捕手として注目され、2006年高校生ドラフト4巡目で横浜に入団。2009年にはファームで打率.309、15本塁打を記録するなど期待されたが、2012年に戦力外通告を受け退団。『野球太郎』No.006よりスポーツライターとしても活動を開始した。

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