人々は真ん中が大好き
私たちは自分の経済状況をコストパフォーマンスに応じて高いものや安いものを選択しているつもりになっていますが、意外とそんなことはありません。たとえば、食事会や歓送迎会のコースなどは価格帯の「特上」「上」「並」なら「上」が圧倒的に選ばれます。
「松竹梅」のコースでは「竹」を選んでしまう心理が働くのです。コースが2種類の場合は、高いコース、安いコースがバラバラに売れますが、3つのコースになると高級店でもリーズナブルな店でも、価格帯の真ん中の「竹」が選ばれます。
これを「松竹梅効果」などと呼んでいます。地域による差も見られなく、全国共通の感覚なのです。
損失回避性が生む無難な判断
なぜ真ん中のコースが選ばれやすいのでしょう。じつはここにも人の損失回避性の傾向が見られます。58ページで、人は見栄にこだわらなくなっていると説明しました。つまり高いものを選んで満足感を得るということが少なくなってきたのです。
高いものを頼んで価格に見合わないものが出てきたら損をする、また、一番安いものを選んでおいしくなかったら損をする、中間のものがもっともバランスがよく損をしにくいのではないかと、無意識に感じてしまいやすいのです。
「ゼロからわかる 知らない損する 行動経済学」はこんな方にオススメ!
・行動経済学を学んでみたい!
・災害時によく買い占めが起きてしまうのはなぜ?
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そう感じている方にはぜひ本書『知らないと損する 行動経済学』を手に取っていただけたらと思います。
出典:『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』著/ポーポー・ポロダクション
【書誌情報】
『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』
ポーポー・ポロダクション 著
コロナ禍により、さらに注目を集めている行動経済学。消毒液をプッシュするとおもしろい音が出ることで、手指の消毒を促進したり、レジ前に足跡のマークをつけてソーシャルディスタンスを保ったり。行動経済学は難解な経済の話だと思われることもありますが、そんなことはありません。「1980円はなぜか安く感じる」「中古品の買取価格に毎回満足できない」「投票の話を聞くだけで投票率が上がる」など、「つい、○○してしまう」という人の不思議な行動を扱う、身近なテーマです。本書ではお金と心理の話を中心に、そんな行動経済学のおもしろさが伝わる内容となっています。初心者の方はもちろん、行動経済学への理解を深めたいと考える方にもおすすめしたい一冊です。
公開日:2022.09.26