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六境と呼ばれる「六つの対象」もない【般若心経】

Text:宮坂宥洪

無色声香味触法(むしきしょうこうみそくほう)

前項であげたとおり、眼(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)、身(触覚)、意(意識)という六つの感覚は、六根または六内処と呼ばれます。

 

それに対し、六根がとらえる六つの対象を、六境(ろっきょう)、または六外処(ろくげしょ)といいます。それが十二処の残り六つにあたります。

般若心経のこの部分では、その六境について述べています。

自我の檻(おり)からもう一度心を解き放つ

 

六境とは、視覚によってとらえる「形状や色彩」、聴覚によってとらえる「音や声」、嗅覚でとらえる「匂いや香り」、味覚でとらえる「味わい」、触覚でとらえる「感触」、意識でとらえる「すべての対象」を指します。

 

これらを象徴的に示したのが「色・声・香・味・触・法」の6文字です。これらもまた「ない(ととらえられる次元がある)」と般若心経は説きます。

注意したいのは、ここで人間の感覚やその対象が「ない」と述べているからといっても、般若心経は何も感じとれない殺伐とした世界を描いているわけではないということです。

自我の檻に閉じ込められていた人が、そこから解き放たれたと思ったけれども、今度は自分の「根拠」にこだわって再びしばられている小乗仏教の観点に対し、再び解き放ったのが大乗仏教、すなわち般若心経の観点です。

その意味を知り、ここに並ぶ「無」の連続によって、解き放たれる感覚を味わってみてください。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。

今、人気の空海(真言宗)をはじめ、最澄の天台宗、臨済宗、曹洞宗で読まれている「般若心経」。写経を中心に長く人気を博している般若心経だが、まだまだ「難しい」「よくわからない」といったイメージを持たれることも多い。今回は、現代語訳をしっかりと解説しつつも、私たちの実生活と結びつけながら、その思想や意図するところをわかりやすく解き明かしていく。

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