毛を逆立てたら臨戦態勢
犬の興奮がエスカレートすると、背筋や首の毛を逆立てます。これは「オレは臨戦態勢にあるんだぞ」という意思表示です。毛を立てることによって少しでも自分の体を大きく見せ、相手に威圧感を与えようとしています。
しかし、これはまだ前段階。さらに興奮が高まると、しっぽの毛まで逆立ちます。こうなると、一触即発です。いつ飛びかかるかわからない状態ですから、散歩の途中でこんな様子を見せたら、すぐに犬同士を遠ざけてください。
とくに危険なのは、尾をピンと立て、脚をしっかり踏ん張って毛を逆立てる犬。体力があり、強い自信を持っている犬が見せる態度で、「目の前から早く消えろ!」と伝えています。人でも犬でも、この状態の犬の目の前にいつまでもいると、「あっちへ行け!」と襲いかかられる可能性大です。
しっぽを後ろ脚の間に隠し、腰をひきながら毛を逆立てる犬は弱い犬。威勢は張っていますが、内心はビクビクしていて、できれば逃げたいと思っています。追いつめずにわざと逃げ道を作ってやれば、逃げて行くはずです。
ちなみに犬が毛を立てるのは、立毛筋という筋肉の働きです。犬を飼っていると、急に全身からフケを出すことがありますが、これは立毛筋の働きで、それまで体毛の奥に隠れていたフケが持ち上げられたために起きること。つまり、犬のフケは急激なストレスや恐怖に襲われた証です。
「皮膚病になったのかも」と心配して獣医に連れて行く飼い主がいるようですが、問題は体ではなく心のほうにありますから、多くの場合、原因はつかめません。恐ろしい経験やいやなことをさせなかったどうか、思い返してみてください。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.12