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1.土器を発明し文化を創造した原日本人【世界史】

Text:鈴木 旭

世界初の食糧保存と加工を目的とする道具=土器を発明する。

日本の縄文文化が世界最古の新石器文化であると言えば、多くの人が怪訝(けげん)な顔をされるかもしれない。しかし、これは紛(まぎ)れもない事実であり、しっかり記憶しておかなければいけない。

平成十一年(一九九九)、青森県蟹田(かにた)町の大平山元(おおだいやまもと)遺跡で出土した無文土器に付着していた炭化物の年代測定をしたところ、16,540年前~15,320年前という結果が出た。放射性炭素年代測定では13,780年前~12,680年前だったのが、樹木や年輪、珊瑚などのデータと照合して補正したのである。

より正確かつ精密な測定結果が前出の年代だとすれば否定する謂(いわ)れはない。それにしても三千年も変化するのは穏やかではない。しかし、日本には福井洞窟(長崎県吉井町)で縄文草創期の土器である爪形文(つめがたもん)土器が出土した地層の下で、旧石器文化では最後の石器になる細石刃と一緒に隆線文(りゅうせんもん)土器が見つかっている。

測定結果は12,700(±500)年前だった。他にも泉福寺洞穴遺跡(佐世保市)では隆線文土器出土の下層で豆粒文(とうりゅうもん)土器が出ており、神奈川県大和市でも同様の結果が出ている。少しも珍しいことではない。重要なことは従来、世界最古とされてきたメソポタミア産の土器よりも七、八千年も古いということである。

七、八千年という時間差をどう考えるのか。ここから世界史に入って行きたいのである。そのためには土器の制作年代が古い、新しいというだけではない。農業生産が始まり、織物・編み物が手掛けられ、定住生活が始まったことなどを総合的に把握しなければいけない。これが満たされたとき、世界最古の新石器文化となる。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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