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キリスト教の「十戒」って、どんなもの?【世界の宗教】

Text:星川啓慈

神に身を捧げ、かつ隣人を愛することが戒め

イエスが人々に説いたさまざまな教えの根幹にあるのは、神と人とに対する愛が人としての務めだということです。「神に愛されるように、神を愛しなさい」 「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」という教えに、それは端的に表れています。

では、キリスト教徒としてのこうした戒律はどこから生まれてきたのでしょうか。それが、『旧約聖書』の『出(しゅつ)エジプト記』に出てくる十戒(じっかい)です。その内容は、左のページにあるとおりです。

『出エジプト記』というのは、エジプトで奴隷(どれい)生活を送っていたユダヤの人民を、*モーセがリーダーとなって脱出させる物語で、その途中、シナイの荒野で神から十戒という「律法」を与えられることになります。

このうち、第1から第4は、神に身を捧げ、その支配に従うことを求める宗教的な戒めとなっています。そして、第5から第10は、隣人に対する愛、いいかえれば倫理の根本を説いた戒めといえるのです。

ちなみに、『旧約聖書』の『創世記(そうせいき)』では、天地創造の壮大な物語が展開されます。神は6日間かけて、光、昼夜、太陽、月、海、陸、動植物などのあらゆるものをつくり、最後に神自身をかたどった人間をつくり、すべてを支配するようにいいました。

そして、7日目に休息をとったのです。

このほか『旧約聖書』には、「アダムとイブ」「ノアの方舟(はこぶね)」「バベルの塔」といったよく知られた話も出てきます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。


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