もっと知りたい経済とお金の話③:「資本主義」と「社会主義」の違いとは何か?
資本主義は、個人が自由に土地やお金や生産設備といった資本を保有できるしくみです。このしくみは、18世紀前後にイギリスで勃興した「産業革命」後に広がります。特徴は工場経営者などの資本家が、自分の工場で働いてもらう労働者から、その労働力を買い取り、静観を行う儀式です。すなわち、工場などの生産設備を個人が保有できる「私有財産制」が認められ、生産物で儲けを得る「利潤追求の自由」が許され、市場で自由な取引ができる「市場主義自由経済」などが前提です。しかし、このしくみでは不況になるとモノが売れず、経営者が労働者を解雇し「失業率」が上がり、「格差が拡大する」といった難点があります。
これに対し、産業革命時代の資本家と労働者の険しい関係から「社会主義」の考えが生まれます。それがドイツの思想家カール・マルクスが著した『資本論』にまとめられます。
マルクスの提唱した「共産主義」は、私有財産を認めず、資金まで平等とするものでした。
マルクスは、資本主義は行き詰まり破錠すると予想して、「私有財産制」「利潤追求の自由」「市場主義自由経済」などを否定します。
国家が向上や設備を所有し、労働者階級が運営する国家が、物資の過不足が起こらない生産計画を立て、曽於舌で労働者が平等に働き、「剰余価値」と呼ばれる賃金搾取の部分をなくした公平な賃金が得られるしくみでした。
これが「社会主義」の源流の「共産主義」で、その後1917年にロシア革命が起き、「社会主義」を実践したソビエト連邦が成立します。しかし、社会主義も多くの難点があります。「競争がないのでモチベーションが低く生産効率が上がらないこと」や「特権階級による富の独占や非効率な官僚化がすすむこと」です。こうした矛盾が重なることで衰退し、実際1991年にソ連は崩壊します。
その後は中国でも「社会主義」が実践され、やがて中国式社会主義を標榜し、経済の自由などを認め、世界第2位のGDPにまで昇りつめますが、特権階級がはびこる一党独裁化の内部矛盾や格差拡大などで現在も混迷が続いています。
【資本主義】自由にお金儲けをすることはOK/自由に土地を所有することはOK→格差社会が生まれやすい
【主な資本主義国】
- 日本
- アメリカ
- イギリス
- ドイツ
- フランス
- カナダ
- イタリア など
【社会主義】自由にお金儲けをすることはNG/自由に土地を所有することはNG→格差社会が生まれにくい
【主な社会主義国】
- 中国
- 北朝鮮
- キューバ
- ベトナム
- ラオス など
共産主義と社会主義が同じ意味だと思われがちですが、共産主義は平和で平等な社会が観戦した状態を指し、社会主義は共産主義への移行段階を言います。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』
著:神樹兵輔
経済社会は「価値の尺度」と「交換」に基づき、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。歴史的に見れば、江戸時代の日本では貨幣経済が発展し、物々交換から現金取引への移行が進み、一方でアメリカは金融政策や税制改革を通じて市場の豊かさを維持しました。近年では目的に基づいた合理的な行動が新たな価値を生み出す一方で、非合理的な選択も経済に影響を及ぼしています。「眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話」では、こうした経済社会のカラクリを解き明かし、市場の豊かさや人々の価値観がどのように形成され、どのように経済活動に影響を与えるのかを探り、この知識を通じて読者が豊かで充実した生活を送る方法を見つける手助けを目指します。
公開日:2024.08.25