次は、インパクトエリアでヘッドスピードを上げるための方法を紹介します。左腕を肩の高さに上げて真っ直ぐ伸ばしてください。手のひらは地面に向けます。その状態から、小指と薬指の第3関節(ナックル)をできるだけ強く、速く、ギュッと握ってください。どうです? 勝手に左腕が反時計回りに回転したでしょう。同時に小指側に折れます。左手がピストルを握ったような形になり、甲が左(飛球方向)を向きましたね。
この動きは、ダウンスウィングからインパクトまでの左腕の動きです。そして左手甲が飛球方向に向いた形こそ、インパクトの瞬間なのです。つまり、左手小指と薬指をギュッと握り込むだけで左手甲がターゲットを向いた。左手甲はクラブフェースの向きと同じですから、クラブフェースが勝手にスクェアになったことになる。これこそ、いつもスクェアに球をヒットすることができる再現性のポイントです。そして、この左手の動きをよく観察すると、左の人差し指を中心として回転していることがわかります。言い換えると、ヘッドスピードを上げ、飛距離を出すためには、左の人差し指を中心にして手のひらをスピーディーに回転させてやればいいのです。
さらに、この左手の握り込みをインパクト直前に行います。その鍵は、グリップエンドにあります。インパクト直前に、グリップエンドを、ちょうどコーナーで急ハンドルを切るようにグイッと急旋回させるのです。すると、シャフトの先端はグリップエンドの16倍もの速さで動きます。しかもその先端には約200グラムのヘッドがついています。では、200グラムの重さが下りてきている最中に、シャフトがグイッと方向転換したらどうなるでしょうか? ヘッドには慣性の法則が働き、クラブヘッドに強烈な加速度が生じます。
ただし、この動きを飛距離アップにつなげるには、もう一工夫必要です。グリップエンドを急激に方向転換させるには、どうすればよかったでしょうか?左手の小指と薬指をギュッと握り込む動きが必要でしたね。この握り込みを、もっと強く行うのです。左手小指、薬指、中指の3本でグリップをバキッとへし折るくらいに、強く握り込むのです。
この左腕の動きを、より強烈にする方法があります。アドレスの際に、左上腕の内側を左胸で軽く圧し、その状態で左肩を やや上に持ち上げておくと、左上腕は内旋した状態になり、左前腕は、左手甲がスクェアになる以上には回外しないと述べました。この左肩を上げる動きをインパクトで取り入れ、左手小指、薬指、中指の3本でグリップをギュッと強く握り込むのです。 そうすると、左上腕にしっかりとストッパーがかかります。ストッパーがかかると、左腕は勝手に反時計回りして自然と左手甲が目標を向くと同時に、それ以上左手甲はねじれないので、上から下りてきたシャフトには急ブレーキがかかり、その先にあるヘッドは、つんのめるように先に行こうとして、シャフトにしなり戻りが生まれます。この逆しなりでヘッドスピードはさらに加速し、飛距離アップのエネルギーとなるのです。
【書誌情報】
『誰でもできるナイスショットの絶対法則』
著者:佐久間馨
ゴルフのパットがうまくなるために、1アドレス(構え方)、2ストローク(打ち方)と距離感、3グリーンの読み方を写真を交えてその方法をわかりやすく解説。ラウンド当日の練習方法も、5分間~20分間の練習時間別に紹介。パッティングは、グリーンの傾斜を読む力、その感性を育むために必要な基礎技術をこの本で体得していただきたいと願いながら書きました。技術と感性が向上し、スコアアップに、そしてゴルフのおもしろさアップにつながりましたら幸いです。
公開日:2020.03.26