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舎利子に呼びかけながら答えが語られる【般若心経】

Text:宮坂宥洪

舎利子(しゃりし)

舎利子はサンスクリット語の発音では「シャーリプトラ」で、「シャーリという名の母の子」という意味。お釈迦様の十大弟子の筆頭で、「智慧第一」とも呼ばれるすぐれた人物です。

 

般若心経では、観自在菩薩の教えを受ける立場として描かれています。この設定にはどんな意味があるのでしょうか。

般若心経には小乗仏教の代表として登場

仏教は、インドの伝統的(正統)な哲学に対する巨大なアンチテーゼ(異端)として生まれました。形や感覚などの属性とは別に自己が存在すると考える伝統的哲学の「有我説」に対し、自己は五蘊に解体されるという「無我説」を唱えています。

 

ところが、すべては法(ほう)(ダルマ=後述)のなかで生じていて実体がないとする「諸法無我」という教えに対し、今度は熱心に研修するあまり、法に固執する人たちが現れました。

その考えを小乗(小さい乗りもの)として批判し、さらに上の観点にたどりついたのが大乗仏教でした。それを高らかに宣言した教典が般若心経です。

実際には、諸法無我の境地に達するのも偉大なことです。それを成し遂げた舎利子が、ここでは小乗仏教の代表として登場しているのです。先の建物のたとえでいえば、3階にいる舎利子に、「一つ上の階もあるよ。こんな景色が見えるよ」と呼びかけているわけです。

これは、今を生きる私たちへの呼びかけでもあります。

それを、観自在菩薩の言葉を通じて述べていきましょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。

今、人気の空海(真言宗)をはじめ、最澄の天台宗、臨済宗、曹洞宗で読まれている「般若心経」。写経を中心に長く人気を博している般若心経だが、まだまだ「難しい」「よくわからない」といったイメージを持たれることも多い。今回は、現代語訳をしっかりと解説しつつも、私たちの実生活と結びつけながら、その思想や意図するところをわかりやすく解き明かしていく。

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