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巣は作らず高度な視力とジャンプ力で捕らえる【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

ハエトリグモ

クモの狩りと言えば、“くもの巣”を張って獲物が引っかかるのを待ち続けるイメージがありますが、その方法で獲物をとるクモは全体の半数ほどに過ぎません。残りは網を張らずに徘徊しながら獲物を獲ったり、その場で網を投げつけて捕らえたりします。網を張るものを造網性、張らないものを徘徊性と言います。

ハエトリグモは徘徊性で、よく動き回り、歩きながら餌を探します。一般の家でもよく見かけ、「家グモ」と呼ばれるクモはほとんどがハエトリグモ。ハエトリグモはハエだけではなく、カやダニ、ゴキブリの幼虫なども食べることから、益虫とされています。脚にはネバネバした毛があり、ガラス面のようなツルツルした場所でも容易に歩くことができます。

ハエトリグモは自分の体の6倍もの距離を飛ぶことができ、英名を「ジャンピング・スパイダー」と言います。徘徊中、獲物に出会うと直接獲物に飛びかかってしとめます。捕らえた獲物に消化液を注入してドロドロにし、吸い取るようにして食べるのが特徴です。また、徘徊中はつねに糸を出していますが、これは罠を作ったり獲物を捕らえたりするためではなく、高いところから落ちたときの命綱代わりとされています。

ハエトリグモは視力もよく、物の形や色も認識するとされています。同じように視力のいいクモにメダマグモがいます。一般に造網性のクモは視力が弱いのですが、メダマグモは造網性ながら発達した目を持ち、暗闇でも獲物がよく見えます。メダマグモは、放射状の網ではなく、小さな網を作って待ち伏せし、近づいてきた獲物に網を投げつけるという方法で狩りをします。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。

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