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15.周王朝の東遷から約550年間、乱世を繰り返す【世界史】

Text:鈴木 旭

乱世でも周王朝の権威を護持した春秋から激烈な攻防の戦国へ。

中国4,000年の歴史を振り返るとき、五分の一、800年を周王朝が占めることに驚かされる。太平平楽、いかに安定した支配と統治が行なわれたのか、中国の歴史の中でも際立っている。

しかし、幽王の時代、犬戎の侵攻を受け、次の平王(へいおう)の時代、前770年、鎬京(こうけい)(いまの西安)から洛邑(らくゆう)(いまの洛陽)に遷都以来、秦(しん)が中国統一を成し遂げるまでの間、550年間、中国は乱れに乱れ、激烈な攻防戦が続く時代に移る。これを春秋戦国の時代という。

かつて周王から封土を与えられた諸侯が、それぞれ勢力を蓄え、敵対と同盟(会盟)を繰り返す中で淘汰(とうた)されて行く時代であった。前半の春秋時代はまだ周王朝の権威は保たれ、王室を尊重する気風は残されていたが、後半の戦国時代になると一変してしまう。

周王朝は諸侯と同レベルの地位に転落。乱世も「戦国の七雄」に絞られてくると、それぞれ「王」を名乗って天下統一を標榜するようになる。

 

その背後にあったのが鉄製農具の普及によって灌漑や開墾が進み、急激に生産力が上昇したこと。そして、生産力の上昇による成果を巧みに取り込んだ諸侯が実力者として生き残る。黄河上流の秦や長江流域の楚(そ)、呉(ご)、越(えつ)などである。

この時代、軍事的攻防が激しく繰り返されただけではない。春秋時代には、王道の理念、理想を説く孔子が登場し、諸侯が諸国において、それぞれ独自に国造りを実践する戦国時代においては、「法に基づく国造り」を主唱する法家(ほうか) のような思想家が歓迎されるようになる。

春秋の名は孔子がまとめた魯(ろ)の年代記『春秋』に由来し、戦国は『戦国策』に由来する。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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