冬至カボチャを食べて、長い夜にゆっくり運気も復活。
冬至は1年のうちでもっとも夜が長く、昼間が短い日なので、この日を境に日照時間は長くなっていきます。そのために「太陽の復活する日」として、世界各地でさまざまな祝いの行事が行なわれました。古代中国では太陽進行の始まりとして暦を計算する起点とし、歴代皇帝は「冬至節」の儀式を行なって天を祀りました。日本でも、奈良時代から宮中で冬至節の儀式が取り入れられています。イエス・キリストの誕生日とされるクリスマスも、古くからヨーロッパに伝わる冬至を祝う祭りに由来するともいわれています。
冬至に行なわれる風習のひとつが「柚子湯」です。冬至に柚子湯に入ると風邪を引かないという伝承が江戸時代に広まり、体調を崩しやすい季節の変わり目に身を清め、用心するための習わしとして普及しました。実際、柚子には血行促進作用があり、冷え性や神経痛などの緩和が期待できます。また季節の境である端午の節句の「菖蒲湯」も、同じ理由で広まっています。
また冬至には「ん」のつく食べ物を食べると幸運につながるといわれています。代表的なのが「南瓜(なんきん)」とも呼ばれるカボチャです。これにレンコン、ギンナン、キンカン、カンテン、ニンジン、うどんを加えて冬至の七種と呼ばれます。また、小豆がゆや小豆団子を食べる風習もあり、これは小豆の赤い色が邪気を祓うという言い伝えが由来になっています
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』監修:千葉公慈
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』
千葉公慈 監修
「運気を上げる」をキーワードに、「春」「夏」「秋」「冬」の1年を通して行われる暮らしの中のしきたりと、成長や長寿なと?を祝う「通過儀礼」のしきたり、結婚や葬式なと?にまつわる「冠婚葬祭」のしきたりを解説していきます。また、しきたりの「そもそも」と、古来より受け継がれてきたしきたりの変化、地域色、慶事と弔事のしきたりなど、「しきたり七不思議」的な視点で読者の興味を喚起します。日本人ならぜひとも知っておきたい日本のしきたりを図解でわかりやすくまとめて紹介!
公開日:2021.09.16