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今季スタメン獲り必至!?村上宗隆との和製3・4番期待の広角に打てる「令和のブンブン丸」濱田太貴/東京ヤクルトスワローズ

Text:小林雄二

村上宗隆との和製3・4番を期待!広角に打てる「令和のブンブン丸」

⚫︎東京ヤクルトスワローズ
濱田太貴

期待の長距離砲は「もったいない選手」

あるサイトで「もったいない選手」に選出(?)されていたように、“もっとできるはず”“もうひとつ、殻を破ってほしい”と思わせるのがこの濱田太貴だ。

濱田太貴は今年で6年目を迎える右投げ右打ちの外野手で、リストが強い長距離砲。高校は大分の明豊で、高2の夏には「3番・レフト」で甲子園に出場すると、初戦の坂井戦では逆転の2ラン本塁打を含む3安打4打点、3回戦の神村学園戦では2戦連発となるソロ本塁打を含む3安打4打点の活躍で、チームをベスト8に導いた。準々決勝の天理戦は9ー13の打撃戦で敗れはしたものの、濱田太貴自身は3安打1打点で同大会は15打数9安打の打率.600、9打点2本塁打を記録。ただただお見事な活躍で、一気に注目を集めたのを覚えておいでの方もいるだろう。

3年夏は大分県大会の準決勝で柳ヶ浦に敗れ2年連続の甲子園出場は逃したが、高校通算45本塁打を放った長打力と勝負強さの評価は高く、「高校生離れしたヘッドスピードと、常にフルスイングして紅白に打てるパワーヒッター。将来のクリーンアップとして期待できる」(松田慎司スカウト)として、ヤクルトが同年(2018年)のドラフト4位で指名した和製大砲候補なのである。

打撃の天才は、ホームランアーチストの弾道

プロ入り後は、まずは「順調」だったといっていい。

ルーキーイヤーの2019年はファームで105試合に出場し打率.254、8本塁打、52打点の好成績。シーズンの終盤、9月25日の中日戦で一軍デビュー。結果的に2試合に出場して5打数ノーヒット、3三振の成績も高卒ルーキーながら一軍昇格は濱田太貴の非凡さと球団の期待、その両方の表れだろう。

翌2020年は8月12日の巨人戦で5回表、菅野智之からプロ初安打を放つと、9月17日のDeNA戦ではピープルズからプロ初本塁打。同20日の広島戦では球団最年少となる20歳0カ月での先頭打者本塁打を記録するなど、33試合に出場して100打数20安打、打率.200、3本塁打、7打点。

この頃の濱田太貴を見て「失敗を恐れないで振っているところがいい。“なんで一球目(の)こんなボール振るんだろうな…”と思う時もあるんですけど、振るだけいいと思います。池山(隆寛、現二軍監督)に似ていますね」とは大矢明彦氏。言葉通り、“元祖ブンブン丸”に並び称されるくらい積極的に振る姿勢は濱田太貴のストロングポイントだ。

ちなみに、この年の3本塁打はいずれも滞空時間の長い、いわゆるホームランアーチスト型の弾道だった。一方、菅野から記録したセンター右へのプロ初安打は、菅野の初球・カットボールに対して一瞬の間をつくってタイミングをとり、持ち前のリストの強さを活かして振り抜いた技ありの一本。チームのレジェンドである青木宣親が濱田太貴を「打撃の天才」と評するのは、このあたり、長打と技術を併せ持ったポテンシャルを目の当たりにしているからであろうと推測する。

強いスイングをしながら、なかなか三振をしない

期待された2021年はオープン戦で4本塁打、11打点と好調をキープも、開幕直前にコンディション不良で離脱。この年結局、一軍のグランドに立つことはなかったが、2022年には73試合に出場して141打数29安打、打率.206、6本塁打、14打点。

そして昨季(2023年)は自己最多の103試合に出場して252打数59安打、打率.234、5本塁打、22打点。ブレイク候補として推されることも多かった濱田太貴だが、昨季は結果的に不完全燃焼というか、冒頭で述べたように“もっとできるのでは”と思わされるシーズンになったように思う。

それでも前出の大矢氏はシーズン中の濱田太貴のバッティングをみて「2022年はただ振るだけでしたけど、なんとか変化球に対応したり、状況に即してバッティングをするようになりました」と一定の評価を与えているように、少しずつ階段を上っているのも、また確か。

 

同じセントラルで対戦相手として対峙、フルスイングを基本としながらもハイアベレージを残すDeNAの宮﨑敏郎も「長打もあるし、なんといってもバットコントロール(がいい)。当てる技術が凄い。強いスイングをしながら、なかなか三振をしない」と高評価。

今季は「勝負だと思っています」

そんな濱田太貴が秋のフェニックスリーグ、そしてキャンプで取り組んだのが基本に忠実なセンター返しだった。

「(バットを)インサイドから出したいな、と。基本的にいい(バットの)入り方をしないと、なかなかセンターにいい打球はいかないと思うので、そこをできるようにやっています」

とはいえ前述したように、プロ初安打は打席の中で変化球に対してしっかりと“待て”の体勢をとり、それをセンターにはじき返したものだった。現在、濱田太貴が求めているのはその進化形のかたちなのだろう。これにくわえて、代名詞であるフルスイングに関しては「あまり振らず、今は(バットを)落とすだけのイメージやっています」というが、これも結局は、効果的なフルスイングにつなげるための進化の過程だ。

「来年(2024年)はスタメンをとらないと、もうチャンスはもらえないかな…と。勝負だと思っています」

“勝負”のシーズン、そのための戦いは既にはじまっている。

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