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ローテ投手全員がライバル。手術・リハビリを経て復活の頼れる男・種市篤暉!【ラブすぽ独占インタビュー】

Text:花田雪

頼りになる投手が、千葉ロッテマリーンズに戻ってきた。プロ7年目の種市篤暉――。2019年に一軍で8勝を挙げ、“将来のエース候補”と期待を一身に浴びるも、翌2020年にトミー・ジョン手術。長いリハビリを経て昨季、実戦に復帰すると今季は開幕から一軍ローテ入り。首位争いを展開するチームの中で強力先発陣の一角を担う若き右腕に、復活を遂げた今季の手ごたえから、苦しかったリハビリ期間まで語ってもらいました!

コロナ禍でリハビリを行う厳しさ

――トミー・ジョン手術のリハビリを経て、今季から本格的に一軍に復帰。開幕から約2カ月が経ちますが、(※取材時点で)7試合を投げて3勝2敗、防御率1.51と素晴らしい結果が出ています。

種市 開幕直後は球数が多くて長いイニングを投げられなかったんですけど、そのあたりも修正できて少しずつ(多く)イニングを投げられるようになっているのでよくなっていると思います。

――今季は2020年のシーズン中にトミー・ジョン手術を受け、リハビリを経ての本格復帰イヤーになっていますが手術前と現在でなにか変化を感じますか。

種市 やっていること自体はあまり変わりません。ただ、たとえば「こうなったら、こうなる」みたいな自分の中での変化には敏感になった気がします。試合中でもボールが高めに抜けたら「ここが悪いな」とわかるようになったり。そういう意味では手術前より、野球について考えられるようになったと思います。

――それは、リハビリなどで実戦から遠ざかった時期を過ごしたことも影響している?

種市 時間がたくさんあったのは間違いないです。そこは、今に活きていると思います。

――2019年に一軍で結果を残し、「さぁ、ここから」というタイミングでヒジの手術。「手術をする」となった際の率直な思いを聞かせてください。

種市 正直、手術はしたほうがいいけど、必ずしも今やる必要はない、という状態でした。ただ、今後の野球人生を考えると20代で(手術を)やるのと30代でやるのでは違うだろうと思いましたし、悪い部分があるなら早めに治したいという気持ちがあったので「手術します」と決断しました。

――「切り替え」はすぐにできた?

種市 やると決めた以上は覚悟しましたけど、正直ここまでキツいとは思っていなかったです。

――「ここまでキツい」とは?

種市 リハビリ期間ってある程度スケジュールややることも決まっているんですけど、期間中の大半が計画通りにいかなかったというか……。一歩進んで二歩下がる、みたいなことの繰り返しが1年くらい続いたので、正直キツかったですし、苛立ちもありました。

――リハビリ期間がコロナ禍と重なっていたことは、影響しませんでしたか?

種市 外出も禁止だったのでストレスを発散できる場所が全くなかったのはキツかったです。外食したり、友人と会うこともできない。毎日球場でリハビリして、寮に戻っての繰り返しでした。

――そんな厳しいリハビリを、なぜ乗り越えられたと思いますか?

種市 乗り越えられたとは思っていないです。時が解決してくれた、くらいの感覚ですね(苦笑)。今思えば、もう少し良い意味で適当になれればよかったなと。

――そんな中でも、どこかで光が見える瞬間はあった?

種市 1年ちょっとが過ぎてブルペンに入ったときに、「あ、思ったよりスピード出るじゃん」と感じられたことは大きかったです。そこから、ようやく具体的に復帰に向けて気持ちも上向いていきました。

――リハビリから初めてのブルペン、実戦復帰、昨年の一軍復帰など、ここまでいろいろなターニングポイントがあったと思うのですが、現時点で一番思い出に残っている投球はありますか?

種市 5月16日のオリックス戦で9回を投げ切れたこと(※1失点もチームは延長戦で勝敗はつかず)です。自分の中で大きく成長できたと感じられましたし、自信にもなりました。

――やはり先発投手として「9回を投げ切る」ことは大きい?

種市 毎回「9回投げよう」と思っているんですけど、それを達成できたことはすごくうれしかったです。

「完全復活」はシーズン完走してから

――周囲からは「完全復活」という声も聞かれています。

種市 ヒジや肩に痛みもないですけど、「完全復活」は1年間投げてこそだと思うので、今はそこに向かってやるだけです。

――一番考えるのはやはり、シーズン通して一軍でローテーションを守ること?

種市 もちろん、間隔があくこともあると思うんですけど、毎試合どんな投球をしてもしっかりと反省して、それを次につなげていきたいです。それが、一番大事だと思っているので。

――たとえば、先ほど話に出た5月16日のようなピッチングでも反省する?

種市 もちろんです。データを見返して、自分の感覚と実際のボールの変化をすり合わせたり、どの変化球をどの場面で使うのかなど、反省点は絶対にあるので。

――現在、チームはパ・リーグで首位争いを展開しています。種市投手はどんなピッチングでチームに貢献したいと考えていますか。

種市 先発投手としては最低6回を投げ切ること。もちろん、6回とは言わず7回、8回としっかり投げることを毎試合考えながら1週間、準備しています。

――たとえば奪三振数などはリーグトップを争っています。そういう数字へのこだわりはありますか?

種市 三振については、そこまでこだわっていないです。「2ストライクになったら取れればいいな」くらい。手術前は「全部三振取りたい」と思っていましたけど、それだと球数も増えますし、カウントをどう整えるとか、今はそういう意識のほうが強いです。

チームのローテ投手全員がライバル

――種市投手も今季でプロ7年目。「ライバル」と思う選手はいますか?

種市 そうですね……。ライバルとは少し違うかもしれないですけど、ロッテの先発ローテの中で切磋琢磨できている感覚は強いです。(佐々木)朗希もそうですし、小島(和哉)さん、西野(勇士)さん、C.C(メルセデス)も防御率はすごく良いですし。みんなの投球は当然見ますし、ローテの投手全員を意識しながら「負けたくない」という思いでやっています。

――他チームの選手はどうでしょう?たとえば、種市投手と同じ1998年生まれには、山本由伸投手(オリックス)、今井達也投手(西武)、早川隆久投手(楽天)や、リーグは違いますが今季ブレイクしている村上頌樹投手(阪神)といった好調な投手がたくさんいます。

種市 数字はチェックしますし、試合も見られるときは見たり。特に今井とはLINEで連絡を取り合う中で、変化球の感覚を教えてもらったこともあります。そういう意味でも、みんな凄い投手ですし、みんな意識していると思います。

――貴重なお話、ありがとうございました!

収録:2023年5月17日
インタビュー及び記事執筆:花田雪
協力:千葉ロッテマリーンズ

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