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症状と漢方処方 むくみ【生薬と漢方薬の事典】

Text:田中耕一郎

むくみ

むくみの原因には、足の筋肉が衰えてポンプ機能がうまく働かなくなることや、心臓や腎臓機能の低下の可能性もあります。まずは内科で確認を行い、低下しているようであれば、その治療を優先させるのが一般的です。東洋医学では、むくみは脾や腎や肺の働きなどの低下などから起こるととらえ、どこがむくむのか、周期的なものかどうか、といったことから処方を考えていきます。

体質からみる腎陽虚によるむくみ

冷えから起こり下半身がむくむ

処方:真武湯/牛車腎気丸

体を温めることを第一に

慢性の疾患などで腎が弱っていたり、もともと陽虚の体質だったりする人に起こる、冷えからくるむくみです。下半身のむくみが特徴で、腰やひざがだるいといった症状もみられます。

体を温める働きがある真武湯が用いられます。またさらに、腎を補う働きがあり、特に下半身の症状によく作用する牛車腎気丸を重ねて使うこともあります。

その他 月経周期に関係するむくみ

周期的に水滞を起こしてむくむ

処方:当帰芍薬散

血を補って利水する

女性の場合、月経周期にともなうむくみもよくみられます。ホルモンなどの関係で月経前は体が水分をため込み、水滞になりやすくなるためで、冷えや、めまいなども起こしがちです。

補血をする働き、利水をする働きをあわせもつ当帰芍薬散が用いられます。血が少ないと、月経が起こりづらくなるため、月経不順の改善などにもよく利用される処方です。

その他 肺が水分を処理できないむくみ

朝起きたときに顔がむくんでいる

処方:越婢加朮湯

麻黄で上方にたまった水を発散

肺の呼吸運動によって行われる水分代謝が低下して起こるむくみは、水がうまく下に降りないために、おもに上半身や顔面にみられます。朝起きたときにみられる顔のむくみは、このタイプのむくみです。尿量が減ったりもします。

病因を発散させる麻黄を含む、越婢加朮湯を用いて利水します。熱をとる働きもあります。

養生・セルフケア

過ごし方

あずきは、水分代謝を高める働きをする食材として知られます。尿の出をよくしてむくみやだるさを改善し、特に下半身のむくみに効果あり。「赤小豆」という名で生薬としても用いられています。あずきがゆにして食べるのがおすすめです。

【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎

【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝

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