なぜ孫が降臨したのか
『古事記』の天孫降臨では、降臨間際になって、降臨する神が交代しています。それはなぜでしょう。いくつかの説がありますが、 一部を紹介します。
①編纂当時の皇位継承との関係説
『古事記』の編纂を命じた天武(てんむ)天皇亡き後、皇子である草壁皇子(くさかべのみこ)が即位するはずでしたが、皇子が早世したため、天武天皇の后が持統(じとう)天皇として即位しました。そして、次いで草壁皇子の子で、天武天皇と自身の孫である軽皇子(かるのみこ)が文武(もんむ)天皇として即位したのです。このように孫が皇位を継承することの正当性を主張するため、天孫降臨の神話をつくったという説です。
②タカギノカミへの配慮説
当初、アマテラスは自分の子に降臨を命じました。しかしそれでは、アマテラスの直系が初代天皇となり、タカギノカミの関わりがなくなります。そこで、アマテラスの子とタカギノカミの娘との間に生まれたニニギを降臨させることにしたというのです。
『古事記』は奥が深いですね。
【『古事記』編纂当時の皇位継承の流れ】
『古事記』天孫降臨の流れ
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 古事記の話』監修:谷口雅博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 古事記の話』
監修:谷口雅博 日本文芸社刊
時代を超え読み継がれている日本最古の歴史書『古事記』。
「天野岩屋戸隠れ」「八岐の大蛇」「因幡の白兎」など誰もが聞いたことがある物語をはじめ、「国生み・神生み」「天孫降臨」「ヤマトタケルの遠征」など、壮大なスケールで繰り広げられる神々の物語は、たんなる日本の歴史にとどまらない、興味深く魅力的である。
本書は『古事記』の上中下巻から、神話・物語を厳選して収録し、豊富な図とイラストで名場面や人物像、歴史的背景を詳解する。『古事記』の面白さ、魅力を凝縮した一冊!
公開日:2025.02.20
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