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9度のリーグ優勝を誇る名将・原辰徳が生んでしまった今の巨人の足かせとは!?

Text:福嶌弘

3年ぶりV逸はむしろプラスか!?シン・ジャイアンツ創造プラン

昨オフに超大型補強を展開し、リーグ3連覇へ盤石の陣容を揃えるも、3位に終わった巨人。かつての輝きを取り戻す術はあるの
か!?

名将・原辰徳の後任を担う次代の監督はあの人物!?

「脱FA」「現有戦力に目を向ける」など、シン・ジャイアンツ創造プランをぶち上げてきたが、最後に挙げたいのがチームをまとめ上げる監督についてだ。今オフから新たに3年契約を結んだ現監督の原辰徳の実績は素晴らしく、プロ野球史上に残る名将と言えるが、今季は名将らしからぬ采配が目立った。その最たる例がシーズン後半に導入した先発中4日ローテーションだろう。宮本和知投手チーフコーチの提案だったとはいえ、導入した9月以降の43試合の成績は10勝25敗8分と散々。9月2日時点で15あった貯金を食いつぶして借金でシーズンを終え、優勝戦線から完全に脱落した。

他にもカウント途中での投手交代など強引な投手起用がシーズン終盤に響いたという印象も強い。 結果を残している以上、監督を変える必要がないのは確かだが、その政権があまりに長くなると、弊害が出てくるのも事実。結果を求めるばかり、選手育成がおろそかになって一部の主力選手を酷使する。その結果、後任の監督が就任したときには若手は育っておらず、主力はピークアウトしてしまい、まるで何も残っていない焼け野原のような状態のチームになっているというケースはしばしば見られる。思えばシーズン終盤の先発中4日ローテやCSでの戸郷の中継ぎ起用を見ると、勝ちに焦り結果を求めるゆえの采配とも考えられる。

ひとりの監督が長年チームの指揮を執る弊害として挙がるのが、後継となる次の指導者の育成がおろそかになる点。昨季から阿部慎之助が2軍監督に就任し、10月からは作戦コーチとして1軍に呼び出され、来季からは作戦兼ディフェンスコーチとして1軍に帯同することになったが、引退してまだ2年しか経っていない阿部以外に候補がいないというのも監督の人材不足を如実に表し、長期政権の弊害が出ている。3期合わせて在任15年間で9度のリーグ優勝を誇る名将・原の存在があまりに大きかったゆえに候補となりうる人材を育てられなかったという点もあるが、それが今の巨人の足かせにもなっている。

しかも巨人は伝統的に「生え抜き」で「現役時代にエースor4番打者」だったスター選手しか監督になれないという伝統がある。ただでさえ候補が少ない中でそうした縛りを加えると原の跡継ぎ候補となりうるのは先述した阿部、2016年から年指揮を執った高橋由伸の再就任のいずれかになりそうだが……来季指揮を執る監督12人中4人にメジャーでのプレー経験があり、ひとつのトレンドになっているが、これを取り入れてみるのもひとつの手かもしれない。

となると面白いのが昨季から入閣した桑田真澄か。今季から投手チーフコーチに昇格するのも監督就任の布石なのかもしれない。メジャー経験者が解禁されるのなら、松井秀喜にも当然、就任の芽はある。巨人、ヤンキースと日米の盟主というべき球団を渡り歩いた球史に名を残すスラッガーがもし巨人へ復帰するようなことがあれば、シン・ジャイアンツを率いるのにふさわしい監督となりそうだが……。

出典:『がっつり! プロ野球(30)』

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