FIREが実現可能な純資産はいくらか
米国のミレニアル世代の間でブームになった言葉に「FIRE」があります。まず、ミレニアル世代とは、新世紀の2000年以降に成人を迎えたインターネットを使いこなせるデジタルネイティブ世代の人達のことです。この世代の人達は、旧世代のようにフルタイムで馬車馬のように働く生活や人生には否定的といわれます。
それゆえに、理想的な人生設計として注目を集めるようになったのが、「経済的自立で早期リタイア」を目指す「FIRE」だったのです。 FIREは「Financiar Independence, RetireEarly」の略です。大金持ちになってからリタイアするのではなく、資産の4%の不労所得を得て年間生活費を賄うという考え方が基本にあります。
年間250万円で生活できる人は、6250万円の資産が必要で、年間400万円の生活なら1億円必要になります。年間生活費の25倍の資産を有し、それを年利4%で運用していければ資産を減らさずにFIREが可能となるわけです。もちろん、4%以上で運用できれば資産も増えます。
しかし、社会人になって、20年程度の期間で、しかるべき資産を形成するのは可能でしょうか。年間400万円の不労所得を得る生活には、4%ルールで1億円必要ですが、20年で1億円だと毎年平均500万円貯める必要があります。
手取り収入が500万円にも満たなければ、到底無理な話といえるのです。そこで登場するのが、レバレッジ(てこの原理)でしょう。今は低金利なので多額のお金を借り、それを不動産などに投じてお金を殖やせる――とアピールする業者も多いのです。しかし、投資は元本を一気に減らすリスクも大きいものです。くれぐれもご用心を。
出典:眠れなくなるほど面白い 図解 経済とお金の話
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済とお金の話』
神樹 兵輔 著
日本社会をとりまく環境は日々変化を続けています。特にここ数年、令和の時代に入って、日本も世界も大きな変化が起こっています。日本の経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を知ることにもなります。本書は〝経済のことは難しくてよくわからない〟というような人たちに向け、最低限知っておきたい経済の基本を身近なテーマと共に解説、読み解く一冊です。行動経済学から、原価や流通や利益のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済やお金のことを、図とイラストでわかるやすく解説していきます。経済のしくみや原理原則を理解しないまま日常生活を過ごしていると損をしてしまうことになってしまいます。賢く今の世の中を生き抜くためには、世の中の動きやそこに潜む経済のメカニズムを理解することは必要不可欠なものです。
公開日:2022.02.27