スサノオは国津神と結婚した最初の天津神
『古事記』『日本書紀』には、「結婚」という表現が出てきませんので、どれをもって第1号とするかは意見が分かれるところです。イザナキ・イザナミを第1号と考える方もいるでしょうし、ニニギとコノハナノサクヤビメが第1号という考え方もあると思います。スサノオを第1号とするのは出雲の八重垣神社の説で、それは次のような神話に基づいています。
天上を追放されたスサノオは出雲の肥の川(斐伊川)の畔の鳥髪に降下しました。その時、川の上流に人家があることを知り、行ってみることにしました。すると、乙女を間において泣いている老爺と老婆がいました。なぜ泣いているのかと尋ねると、八岐大蛇という8つの頭をもつ巨大な蛇の怪物がいて、毎年1人ずつ娘を喰っていくのだが、今年はこのクシナダヒメ(櫛名田比売)の順番なので泣いているのだ、と答えました。
スサノオはクシナダヒメとの結婚を条件に老爺に酒を用意させます。この酒を八岐大蛇に飲ませ、酔ったところを見計らって切り殺したのです。この時、尾から剣が出てきました。神聖な剣だと気づいたスサノオは、これをアマテラスに献上することにしました。これが三種の神器の1つ、草薙剣です。
約束通り八岐大蛇を退治したスサノオは、須賀という場所に宮を建て、クシナダヒメと住みました。その跡に鎮座しているのが、八重垣神社だとされます。つまり、スサノオは天津神で最初に国津神と結婚し、地上に新居をつくった神様なのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』監/渋谷申博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷 申博
「神道には教義がないって、本当なの?」「八百万の神々の中で一番偉いのは、誰?」「鳥はいないのに、なぜ鳥居というの?」神道の起源から日本の神様、開運神社のご利益まで楽しくわかる!古代から伝えられてきた日本の心──神道。その奥深い世界を57項目の素朴な疑問からズバリ解説します。「祭りを行なうのは生命力を更新するため」など、知っているようで知らなかった初耳学が満載!かわいいイラストや図解を交え、はじめての人でも神道の基礎知識がわかり、神社参拝が楽しくなるエンターテインメント雑学教養本です。
公開日:2023.01.14