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舟券的中の重要な要素「チルト」ってなに!?『究極のボートレースガイドブック』

Text:永島知洋

これを覚えたら一人前!知っておきたい予想ファクター

スタート展示、周回展示、コース別成績、チルト……。ボートレースならではのこうした予想ファクターを押さえれば、これであなたもボートレース通。「チルトの魔術師」「前づけの鬼」「絶対王者」と称される名選手を覚えておけば、的中はもう目前!

チルトってなに!?

ボートにモーターを取り付けるときの角度をチルト角度といいます。チルト角度というのは、-0.5度がいちばん低く、そこから0度→0.5度→1.0度→1.5度→2.0度→2.5度→3.0度と角度を変えることができます。

 

最初は丸暗記で、
・チルトの角度を上げる(跳ねる)と伸び型になる
・チルトの角度を下げるとボートが安定して乗りやすくなる
 と覚えてもらえれば結構です。

チルト角度-0.5度『究極のボートレースガイドブック』

モーターの取り付け角度を上げることによって、水面に対してボートの接地面が少なくなるので、チルトを上げれば上げるほど水の抵抗が少なくなって伸びるのです。ただ、水面に対して接地面が少ないということは操縦時の安定感が減り、ターンは難しくなるというデメリットがあります。それでも、チルト角度を上げてまくり1発を狙いたいレーサーもいるのです。

チルト角度3度『究極のボートレースガイドブック』

ちなみにレーサーのセッティングで1番多いのが-0.5度、次が0度です。0度にすると-0.5度より少しだけ伸びますが、あくまで
乗りやすさを重視しているセッティングと考えてください。私的には0.5度から「このレーサーは伸びを意識してきたな」と考えて予想します。少し前に比べて、最近はチルト角度を上げて伸び型にするレーサーが増えてきました。その理由の一つにプロペラ制度が影響しています。

昔は「持ちペラ制度」といって、レーサーは自宅などで自身が調整したプロペラを持ち込んでレースをしていました。しかし、「オーナーペラ制度」というルールに変わった現在は、以前と違って前もって調整したプロペラをレース場に持ち込むことができなくなり、レース場で与えられるプロペラをレース前日から叩いて調整する制度に変わりました。つまり、プロペラ調整の時間が少なくなり、プロペラの力で伸びを付けることが難しくなったために、伸びを付ける手段として「チルト角度を上げる」レーサーが増えたのです。

しかし、チルト角度を上げれば即伸びが良くなるというわけではなく、やはりモーターやチルト角度にマッチしたプロペラに叩いて調整できなければ、チルトを上げるセッティングを活かすことができません。

チルト角度の調整具合をチェック1『究極のボートレースガイドブック』

チルト角度の調整具合をチェック2『究極のボートレースガイドブック』

なので、ファンの皆さんはチルト角度をチェックするだけではなく、スタート展示でしっかり伸びていくか? 展示タイムは出ているのか? などといったポイントをレース前にしっかりチェックすることを怠らないように気を付けてください。チルトを上げているのに他のレーサーと展示タイムが変わらないときは、調整がうまくいってないのかと考え狙いを下げる。逆に展示タイムがほかより出ているときは、しっかりと伸びているということなので狙い目といえます!!

チルト角度の調整具合をチェック3『究極のボートレースガイドブック』

チルト角度の調整具合をチェック4『究極のボートレースガイドブック』

ボートレースのヒント

『チルトの上限角度はレース場によって違う』

チルト角度の制限は各レース場によって違います。その理由は簡単に言うと、レース場の広さに関係しています。-0.5度は全レース場一律の最低チルト角度です。チルトを上げられるマックスは3度ですが、この角度上限はレース場によって違いがあります。チルトを上げると水面とボートの接地面が少なくなり、伸びは出るけれど乗りにくくなります。つまり、操縦しにくくなったときの安全面を考えての上限設定となっているところが多いのです。各レース場の広さや、事故に対する考え方がこの制限差を生んでいると言えるでしょう。

ちなみに最も水面が狭いと言われるボートレース戸田のチルト上限角度は0.5度まで。ボートレース桐生も上限が低くて1.0度まで。続いて住之江、若松、福岡、大村は1.5度まで。江戸川、徳山は2度まで。浜名湖は2.5度まで。あとのレース場が3度までとなっています。ちなみにびわこは2022年までは2.5度が上限でしたが、2023年から3度まで使用できるようになりました。選手のなかで3 度が流行ってきているのが影響しているようです。時代の流れに合わせて、今後も3度に上限を上げるレース場が増えるかもしれません。

チルトの上限角度はレース場によって違う『究極のボートレースガイドブック』

【出典】『究極のボートレースガイドブック』著:西野精治

【書誌情報】
『究極のボートレースガイドブック』
著:西野精治

近年、コロナ禍の影響もあり公営ギャンブル市場は毎年のように売り上げを伸ばしています。スマートフォンの普及で手軽に参加できることもあり、今やバブル期の売り上げを上回る状況となっています。この公営競技の中でも最もファンや売り上げを伸ばしているのがボートレース(競艇)。公営ギャンブルと言えば中央競馬(JRA)を思い浮かべる人が多いはずです。たしかに昔から競馬ファンは多く、馬券の売り上げが全公営競技の中でダントツに大きかったのですが昨今は状況が変わりつつあります。ボートレースの人気は急上昇、舟券の売り上げは2兆4142億円(2022年度)と約3兆円の中央競馬に肩を並べるまでになっていて、新規のボートレースファンが増加していることを示しています。とはいえ、初心者にはどうやってボートレースを予想していいのかが分からないのも事実。最初は誕生日とか好きな番号、好きな色、カッコいい選手などの理由で舟券を買うのもありですが、ずっとそのレベルではボートレースを本当に楽しめているとは言えないでしょう。本書はその域を脱して「選手の実力」「有利なコース」「レース展開」「モーターやボートの性能の見極め」などを知ることによって、「自分でレースの予想、推理」ができるようになることを伝授する1冊です。著者の永島知洋氏は「ボートレース楽しむプロ」としてほぼ毎日のようにテレビ番組やYouTubeのレース配信番組でボートレースの面白さ、楽しみ方を身をもって示している人です。小難しいことは抜きに「興味はあるけど専門知識ゼロの人が、とりあえず舟券を予想できてレースを楽しめるようになる」をコンセプトに書き下ろした1冊です。

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