脚の曲げ伸ばし
あらゆる基本動作をチェックする
ここで紹介する「脚の曲げ伸ばし」の動きをチェックする前におススメしたいのが「イスに座って姿勢チェック」です。いきなり動きをチャックするのは難しいものです。動きチェックの前に、イスに座った姿勢をゆっくり観察確認することで、その後の動きチェックもやりやすくなります。ぜひ、行ってみてください。
最初に、立位での脚の曲げ伸ばし(スクワット)です。今までスクワットの指導を受けたことがない方に圧倒的に多いパターンが【できていない例】(5)です。股関節が曲がっていないため、つま先よりも膝の位置が大きく前にでてしまい膝に過度の負担がかかるので注意が必要です。逆に今までどこかでスクワットの指導を受けたことがある方によくみられるパターンが【できていない例】(2)です。踵に荷重しすぎて後ろ重心になり、足指が反っています。足裏3領域にバランスよく荷重できていない状態です。身体の土台である、足が不安定な状態ですから、スポーツ障害予防の観点からも避けなければならない状態です。アスリートがトレーニングとして負荷をかけてスクワットを行う場合は特に危険が伴うので注意してください。スクワットの指導を受けたことがある方が後ろ重心になることが多い理由ですが、ひとつにはスクワットのフォーム指導の際に、「つま先よりも膝が前にでないように」ということが最優先的に強調されていることがあると感じます。股関節、膝、足首をバランスよく動かした上で、足裏へのバランスよい荷重を優先すると「つま先よりも膝が少し前にでる」ケースがあります。ですから、スクワットの際は「つま先よりも膝が少しも前に出ない」という理解で後ろ重心になるよりも、足裏荷重のバランスを優先し「つま先よりも膝が大きく前に出ない」というとらえ方が大切だと感じます。後ろ重心で行うスポーツはまずありません。後ろ重心での動作を繰り返すとスポーツ場面では使えない身体の動かし方のクセを身につけてしまうことにもなるので注意が必要です
膝の曲げ伸ばしの姿勢チェック
チェック項目
(1)背中がまっすぐか
(2)足裏にはバランスよく荷重ができているか
(3)脚のつけ根・膝・足首の配列はまっすぐか
(4)膝の方向とつま先(人差し指と中指の間)の方向が同じか
(5)つま先よりも膝が大きく前に出ていないか
できていない例
(1)背中がまっすぐか→背中が丸まっている
(2)足裏への荷重バランス→つま先側が浮いている、体重が偏っている
(3)脚のつけ根・膝・足首の配列→膝が内側もしくは外側に位置している
(4)膝の方向とつま先の方向→違う方向を向いている
(5)つま先と膝の位置関係→大きく膝が前に出ている
出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人
スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。
公開日:2024.07.24