⑤インバウンド——増え続ける訪日外国人の旅行者数
インバウンド(Inbound)とは「外から内に」という意味で、外国人が日本を訪れる旅行であり、逆にアウトバウンド(Outbound)は、「内から外へ」を意味し、日本から海外へ出かける旅行です。日本の浮世絵や富士山、侍や城、忍者や芸者、家電製品、寿司や天ぷらなどの独特な文化は、古くから外国人の憧れでもありました。
しかし、極東の島国ゆえに遠くて、旅費高のイメージもありました。近年、アニメやコスプレといった輸出が増えるに従い、再び新しい日本文化が注目を集め、インバウンド需要につながっています。長らくインバウンドがアウトバウンドを下回っていた傾向は、2013年の東京五輪開催決定の頃から飛躍的に伸び始め、2015年には45年ぶりにインバウンドがアウトバウンドを上回るようになっています。
訪日外国人旅行者数は 2005年に670万人でしたが 2015年には1973万人を数え、コロナ禍が始まる2020年直前の2019年には、3188万人に達しました。これには1997年以降のデフレ経済や、2013年以降の円安も大いに寄与しているのです。
⑥次世代エネルギー(核融合発電)--原子力発電に変わるエネルギー改革
21世紀後半の実用化に向け、次世代エネルギーとして期待されるのが「核融合発電」です。これまでの原子力発電は「核分裂時」に発生するエネルギーを利用して発電しますが、「核融合発電」は、「核融合時」に発生するエネルギーを利用し発電するしくみです。原子力発電では、ウランやプルトニウムなどの原子を核分裂させてエネルギーに変換しますが、核融合発電は、水素やヘリウムなどの原子を核融合させて発生するエネルギーを利用します。太陽や星の光も「核融合反応」によるものです。核融合発電のメリットは、ウランやプルトニウムなどの希少放射性物質を使わないことです。水素やヘリウムといった地球上に広く存在する物質を利用することができるので資源枯渇の心配もありません。
また核融合は、核分裂による連鎖反応と違って、暴走して深刻な事故を発生させる可能性もないのです。すぐにストップできるので安全性も高いと言われますが、建設に莫大なコストがかかるのが難点であり、そのため国際協力で開発が進められています。
【原子力発電】
ウランやプルトニウムなどの原資を核分裂させて発電
【核融合発電】
水素やヘリウムなどの原紙を核融合させて発電
核融合発電のメリット→希少放射性物質を使用しない、深刻な事故を発生させる可能性が低い
核融合のデメリット→発電所の建設に莫大なコストがかかってしまう
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』
著:神樹兵輔
経済社会は「価値の尺度」と「交換」に基づき、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。歴史的に見れば、江戸時代の日本では貨幣経済が発展し、物々交換から現金取引への移行が進み、一方でアメリカは金融政策や税制改革を通じて市場の豊かさを維持しました。近年では目的に基づいた合理的な行動が新たな価値を生み出す一方で、非合理的な選択も経済に影響を及ぼしています。「眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話」では、こうした経済社会のカラクリを解き明かし、市場の豊かさや人々の価値観がどのように形成され、どのように経済活動に影響を与えるのかを探り、この知識を通じて読者が豊かで充実した生活を送る方法を見つける手助けを目指します。
公開日:2024.08.29